| 2006年07月04日(火) |
パソコンが壊れた理由(SSS) |
突然やってきた・・・あの忌まわしい黒い悪魔 いや、本当は・・・突然ではなくて 少しずつ・・・足音もさせずに、俺に忍び寄っていたのだろう
それに気づかないままに過ぎた時間を思い起こす どこかに「その瞬間」を見つけられそうな気がしたから・・・ けれど、そんな思考の範囲外で・・・悪魔は俺にせせら笑う
Windowsを正常に起動できませんでした・・・と
起動不能に陥ったパソコンの再セットをしなければならないのに 結局まとまった時間もとれずに放ったまま3日間を過ごしていた
その間に・・・パソコンのアドレスに何度もメールをよこしたあいつが 痺れを切らして俺の家に押しかけてきたのが今から20分ほど前だった
「だ〜か〜ら〜っ!難しいことじゃないんだから再セットすればいいのに」 「・・・・面倒くさい」 「パソコン無いとメール届かないでしょ、ん、っもぉ!」
パソコンが無くてもメールは届く 携帯電話に・・・ ただ、携帯の画面で入力するのが得意じゃない俺は、あいつのメールに
『別に、それでいい』とか 『おまえが決めていい』とか短く返事をする
夏の旅行の相談をするために・・・ あれこれ探してはアドレスを送っていたあいつが怒るのも たぶん無理は無い・・・と思う
「とにかく、今すぐ再セットしなさい!私、飲むもの持ってくるから」
そう言い残して・・・あいつは階段を下りていった 俺は少し不服ながらもパソコンデスクに向かう マニュアルを引っ張り出してきて、それを見ながら作業をはじめた
黒い画面から、再セット専用の画面に動いて・・・
指示されるままENTERキーを押したら・・・・ 少し大きめの音を出してパソコンの再セットが始まった
再セットには時間がかかるから・・・ しばらく待っていろとマニュアルに書かれていて 俺はパソコンデスクを離れてベッドに横たわった
「どぉ?始めた?」
アイスコーヒーのグラスを二つ持って戻ってきたあいつは 再セットの進行ゲージを見ながら満足そうに「うんうん」とうなずいた 俺は身体を起こし・・・差し出されたコーヒーを口にする グラスの中で・・・氷が カラン と音を立てて遊んだ
「再セットって、どのくらい時間かかるの?」 「50分って書いてあった・・・」 「そっか、それじゃ待ってればいいね」
そう言うと、あいつはベッドに ちょこん と座る 俺はまた寝転んで、手を伸ばしあいつの背中をくすぐった
「やぁんっ!くすぐったいでしょ〜、もぉ〜」
全然嫌じゃないよ
って顔をして、嫌だというあいつが可愛くて 俺は背中からわき腹あたりに他愛ない悪戯を続ける
「ん、もぉ、スケベー」
そう言いながら俺の手をはたこうとするけれど、顔は笑ってる 俺は調子に乗って・・・あいつの首筋に手を伸ばす
「そういえばさ、パソコンなんで壊れたの?」 「え?」 「だって、壊れるには理由ってもんがあるでしょ?」 「ん・・・・、何でだろう」
実際に・・・壊れた理由は複合的で、何かというのは思い当たらなかった だから、『何でだろう』と疑問系で発言したわけだった
「またまた、とぼけてもわかってるんだからね〜 エッチなページにでも行って変なもの拾ってきちゃったんでしょ」
あいつが『訳知り顔』で俺の頭をポンポンと叩いた 俺は・・・あいつの身体を引き寄せる
「あんっ」
小さな悲鳴をあげたあいつを、一気に押し倒し 両腕を押さえつけるようにして、その顔を見つめた
「な、なによぉ」 「俺にはおまえがいるから、エッチなページなんてのは必要ないだろ?」 「本当?絶対行かない?」 「ああ・・・おまえ以外の女に興味なんて無い・・・」 「珪くん・・・・」
甘えたように・・・あいつが俺を見つめた その瞳の色合いには・・・ 女として愛されてるって自信が見えたような気がした だから俺は・・・ その瞳をじっと見つめて、優しく頬を撫で近づいていった
やがてその瞳がまぶたに隠れ・・・ つややかな唇が微かに震えた
そして俺は・・・口付けの期待に満ちたあいつの顔を両手で持ち・・・
ゴンッ
「痛っ!何するのよ!!」 「頭突き・・・」 「何でー!?」 「・・・なんとなく、憎らしくなったから」 「んもぉーー!!ひっどーい!」
怒ったあいつが・・・両手で猫パンチを食らわしてくる 俺は・・・やめろと言いながら叩かれてやる
絶対キスするって思ってただろ
意地悪な質問は言わずに・・・思うだけ 俺はそうしているのに、おまえがあんなこと言うから悪いんだぞ?
愛してるのは・・・おまえだけ それは決して嘘じゃないから・・・・
パソコンが壊れた理由・・・・ 正解は・・・永遠の謎
END
|