11月も半分過ぎて・・・受験までのカウントダウンが始まった あいつに頼まれて、図書館で一緒に勉強をするのが習慣になって2ヶ月 特別に・・・何が起こるわけでもなく 話しを・・・するわけでもなく 俺たちは、ただ・・・繋がったデスクで肩を並べて勉強をする
「葉月くん」
周りに聞こえないように、小声で声をかけてくる
「ん?」 「あのね、ここなんだけど」
差し出された参考書の数式を見るよりも・・・ ふわりと動いた髪の香りが気になって仕方ない
「これは・・・だから、こうなって・・」 「あ!解かった、ありがと」
ほんの少しくれる・・その笑顔 見つめていたい・・・そんな衝動を堪え 俺は・・・すぐに自分の見ている本に視線を戻す
やがて・・・下校をせかすチャイムが鳴り 俺たちは校舎を後にする 駅へ続く坂道を・・・二人で下るのは、もう何度目だろう
「今日は、寒いねー」
あいつが、肩口のマフラーを首に巻きなおす 秋から冬へ向かう晴れた日 夕暮れを過ぎて・・・夜になると ぐんぐんと冷え込んでくるのを肌で感じた
「寒いはずだ・・・ほら」
俺はそう言って・・ふぅーっと息を吐く 吐き出された息は・・・白くかたちどられた
「ほんとだー、もう真っ白になるんだ」
そう言って・・・あいつも息をふぅっと吐いて 俺たちの間で・・・二つの白が交じり合った
「・・・・」
「葉月くん、顔が赤いね、寒いの?」
「・・・別に」
俺は顔を見られるのが恥ずかしくて・・・上を向いた
「あ・・・星がきれい」
見上げた空には・・・幾つもの星が瞬いている
(おまえのほうが・・・綺麗だ)
いまは聞こえる事のない・・・台詞 でも・・・いつかきちんと言う
だから、もう少し・・・ 今はこのままで・・・いいだろ?
END
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