hazuki's diary

2003年11月10日(月) 連載番外編 「あいつの誕生日」(SSS)

俺たちが付き合うようになって・・・・
初めてのあいつの誕生日
2005年11月10日まで・・・あと一週間となった夜

彼女への誕生日プレゼントに・・・
何を贈ったら喜んでくれるのかいろいろなことを考えた
卒業式で渡した・・・クローバーのリング
もちろん、それと揃いになるような・・アクセサリー
それとも・・・、これからの季節にあいつの身体を温めるコート
いったいどんな物を渡せば・・・
あいつは・・・あのはじけるような笑顔を俺にくれるんだろう

・・・・・・・

11月10日午後8時20分

ピンポン♪

「こんばんわ〜、シロネコヤマトの宅急便です、お届け物に伺いました」
「はぁ〜い、ハンコ、ハンコ」

玄関先に出てきた尽は、何か自分でも食べれるような贈り物が届いたことを期待しつつ、ドアを開けた。
すると、目の前にいる配達員は、にっこり笑い目配せする。

「きっと、これは君のお姉さん宛だと思うけど」
「え?姉ちゃんに?」
「多分そうだと思うよ、それじゃここにハンコください」

怪訝そうな顔をした尽は、それでも言われたところにハンコを押すと、配達員のいった言葉の意味をすぐに理解した。
送り状に示された、差出人の名前は「葉月珪」だったのだ。

「ったく、きざなことしやがって、葉月の野郎」

舌打ちした尽だったが、受け取った品物を大事そうに持ってリビングへ向かった。
リビングでは、ふてくされた姉がソファーに寝そべってテレビを見ている。
尽は、ドアの外にプレゼントを隠したまま姉に話し掛けた。

「なあ、姉ちゃん、今日は大事な日だよな
 いわゆる姉ちゃんの19歳の誕生日だ」
「尽はうるさいなぁ、良いでしょ?
 誕生日だろうが、なんだろうが私が家に居たってー!」
「そのふてぶてしい態度の原因は、誰だか知ってるぜ、俺」
「もう、うるさい!」

自分のほうを見ようともせず、ふてくされたままテレビを見てる姉に、尽は苦笑する。
どんなに文句を言っていても、だからといって、姉が葉月を嫌いになることは無い。
思ったよりずっと順調に交際を続ける二人の様子を、尽が面白くなく思っているのは、相変わらずだった。

「ま、でも許してやれよ、葉月のやつも、いろいろ考えてんだろうから」
「なにそれ?尽は解かったような口きいちゃって、生意気!」
「まぁ、俺にとってはどうでも良いけど、姉ちゃん宛になんかきてるぜ」
「え?」
「差出人は、どっかで仕事中の誰かさん」
「尽、早く言いなさいよ、もう!」

慌ててソファーから飛び起きた姉が、まっしぐらにドアに駆け寄ってくる。
尽は、ほんの少し悔しいと思いながらも、隠していたプレゼントを姉に差し出した。

「あ・・・・・」
「誰かさんも、きざだよな」
「これ・・・、いや・・・もう、どうしよう・・・」

言葉が続かなくなり、プレゼントを抱えて床に座り込んだ姉を、尽は優しいまなざしで見つめ、そして踵を返し自分の部屋へと階段を駆け上がっていった。

・・・・・・・・

19本の真紅の薔薇に添えられたカードには、葉月からのメッセージ


「誕生日・・・おめでとう
 この薔薇に、心からの愛をこめて

 これから、毎年、おまえの誕生日には薔薇を贈る
 来年は20本・・・再来年は21本
 そして、10年後20年後30年後・・・・
 ずっとおまえの歳の数だけ・・・薔薇を贈る
 
 愛している
                  
                   葉月 珪」




END



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