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■ 鳥辺山心中(香檳烏龍)
やはりどうしても海老蔵の「鳥辺山心中」と團十郎の「五所の五郎蔵」を見たくてチケットを取り、それが本日、新春大歌舞伎の千秋楽。夜の部なのだが開演が4時のため、本日会社を午後半休。時間にはゆとりがあるが、すぐに銀座へ向かう。ひさしぶりに銀ブラ。伊東屋やアップルのショップを覗き、山野楽器で欲しかった輸入版のピアノの楽譜を買い、鳩居堂をひとめぐり。足袋の大野屋で柄物の足袋を物色。こうしてのんびり散歩するのも、ウインドウショッピングするのもひさしぶりだ。歌舞伎座近くでコーヒーを飲んでひと休みしてから会場へ。 海老蔵の「鳥辺山心中」から始まった。この演目は、昨年10月、パリのシャイヨー劇場での海老蔵襲名公演でも上演された。物語の最後で海老蔵と菊之助が寄り添う姿が美しい写真はいくつかの雑誌でも紹介されていた。 物語の主人公は将軍のお共で京に上洛していた半九郎と祇園の遊女お染。お染にとって半九郎は遊女になって初めての客。半九郎はうぶなお染をかわいがる。半九郎が江戸に帰らなくては成らなくなった時、家宝の刀を売ってでもお染を身請けしてその父のもとへもどしてやろうとするが、そんな最中にアクシデントがあって同朋の弟を斬り殺してしまう。裁きを受けるか、兄の同朋に仇として伐たれるか。いずれにせよ、生きてはいられない。自分の愚かな行為に嘆いていると、お染が一緒に死なせて欲しいと言う。 菊之助のお染が切々と半九郎に、私も共に死ぬと訴える場面、この二人のやりとりの中に張り詰めた感情と空気が高まり、話の筋は単純なものなのに、感極まってくる。四条河原の宵闇の中に月と二人の姿だけが浮かび上がり、目にも美しい。 11列めの席で顔も肉眼でわかるけれど、美しい二人の顔を眺めたいなと借りていたオペラグラスで、どアップにして見た菊之助の瞳が、うるうるして光っている。涙か!?すぐに海老蔵の顔を見ると一筋の涙がツーっと流れている。うわー、二人とも泣いてる。年配のベテランの役者がやっていたのなら、さすがだなーと感心するところだが、この海老蔵と菊之助、二人の芝居が上手いところに、ともに26歳くらいの若さで顔も姿も美しい。このきれいな男の子たちが涙を流して見つめ合うわ、互いの袖に腕を入れるわ。なんだか、木原敏江のマンガ「夢の碑」を思い出したりしつつも、ものすごく感動してしまった。四条河原にたたずむ二人の向こう闇の中にぼうっと月が出ている。これは、パリの観客のみなさまも心打たれたに違いない。 花道近くに座っていたので、二人が花道を去って行く一部始終も間近で見ることができた。美しさに涙が出そうなくらいだった。この後、この二人の「鳥辺山」の上演の機会はいつかまたあるだろう。が、この20代のこの時のみずみずしい「鳥辺山」を見ることができて良かったと思う。 もうこれでおなかいっぱい。だが、演目は文屋と喜撰法師の舞、そして海老蔵のパパ・團十郎の「五所の五郎蔵」と続く。昨年の海老蔵襲名公演が始まって一週間くらいのところで病に伏してしまった團十郎の日本での(と言うのはパリでは舞台に立った)復帰・主演である五郎蔵。これは正月二日の教育テレビでも一部を放送していて、とてもカッコよくて、これも楽しみにしていた演目。顔も声も恰幅も、ハリがあって粋な團十郎の五郎蔵。元気な姿で復帰してくれてありがとう!歌舞伎座前の大野屋で買った柄物の足袋 胸もいっぱいで帰宅、今夜のお茶は、台湾の香檳烏龍。別名、東方美人。アンバーな茶水の色とむせるような香り、深い味わいを楽しみながら、海老蔵&菊之助の姿を思い出してみる。
香檳烏龍について●マレイの歌姫と東方美人
2005年01月26日(水)
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