あずきの試写室

2005年06月23日(木) 「バス174」

「シティ・オブ・ゴッド」で、ブラジルのストリートチルドレンの
過酷な生活に、驚愕とともに今まで知らなかった
ブラジルの一面を知った私。
この「バス174」は、ストリートチルドレンそして
警察の暗部が、バスジャックのリアル映像とともに
描かれていきます。
作られたものではない、ドキュメンタリーとして
迫ってくる映像。
バスジャック犯サンドロが何度も口にするように
「これは映画じゃないんだ」
そうなんですよね、映画として映画館で見ているけれど
現実なんです。

バス174路線に強盗として乗り込んだサンドロが、
未遂からバスジャックに変わってしまう状況。
そしてサンドロの過酷な子供時代を
親族や知人が語っていきます。

現場を封鎖できず、マスコミに取り巻かれてしまうバス。
それにより、思ったような指揮が取れない警察官・特殊部隊員。
今回の映画で、警察官の意外な現状に驚きました。
警察官になって、それだけでは生活できないほどの薄給に、
別の仕事を持つという。
しかも、学歴を必要としないために貧困家庭出身者の
率が高いこと。

驚くべき現実を次々と提示されながらも、
人質となった被害者の女性が
恐ろしく冷静なことにもびっくり。
携帯で「強盗にあったら、仕事に遅れる」と電話をしていたり。
犯人に対しても、刺激しないよう会話をしていたりと。

犯人だけじゃない、社会を渦巻く状況ひとつひとつが
目をそむけてはいけないブラジルの現実だと思うと、
観終わった後も終わりではない、
重さに押しつぶされそうになったのでした。


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