「猫、が喋った…」 『あんま驚いてないね』 黒猫が面白そうに笑う。笑う、というのは妥当な表現ではないが、確かに声音は笑っていた。 「…驚いてるよ、充分」 そういう風に見えるのは、性分だから仕方ないと思う。あまり物事に動じないし、感情が表に出ないのだから。説明しても仕方がないから言わないが。 『そうは見えないなぁ。…ま、いっか』 トン、と重さを感じさせないで、黒猫は腕から飛び降りた。青色の瞳がじっとメイを見上げてくる。 『すごいね、メイの力』 いつの間にか名前を覚えたらしい黒猫は、先ほどの戦いで発揮したメイの力を褒めた。 しかし、褒められた当のメイは、顔をしかめた。それはそうだ。メイにとってこの力は好まざる、忌々しいものに過ぎない。 「別に…凄くなんかない。化け猫に褒められても、嬉しくない」 『化け猫じゃない!俺はヒトだよ!!…ちょっと色々あって、この猫の身体使ってるだけだ』 「どう見たって猫…」 『だぁかぁらぁ、色々あってって言ってるジャン!!』 牙を剥いて反論する猫を尻目に、メイは台所へ向かった。その後を猫が着いてくる。 『俺さー、悪いヤツから逃げて来たんだよ。で、途中どっかに身体を置いてきちゃったんだって。でね、そいつから身体を取り返す手伝いをしてくんない?』 グラスに水を注ぐと、一気に飲み干す。こんなバカげた話もばかばかしい状況も、直視したくない。黒猫の話も存在も無視するように、メイはもう一杯水を飲み干した。 『あ、ずるい。俺も咽渇いたよー。ちょーだい、ちょーだい』 足元に纏わり付くから、軽くいなした。すると、猫は床を蹴り、シンクの上へと身を躍らす。猫は勿論運動神経が良い動物だが、それ以上に信じられないほど、身が軽い。なにせ、予備運動がまったく無かったのだ。 「シンクに直接上らないで、汚い」 なぎ払うようにして追い返す。それでも、メイは深皿に水を張って、床においてやった。シンクを蹴って、黒猫が水に飛びつく。 「それ飲んだら出てって」 『ヤダ。俺行くとこないし、メイしか頼めるヤツいないんだもん』 「冗談じゃないわ。…出てって」 首根っこを掴むと、そのまま窓際へ歩いていく。そして開け放した窓から茂みに向かって、猫を放り投げた。猫は運動神経がいい。なにより化け猫だ。投げたところで死にはしないだろう。 『何すんだよ、行くとこないって言ってんだろ!』 「!」 振り返ると、黒猫が床に座っている。放り投げて間もないし、窓はたった今自分が閉めた。いつの間に入ってきたのか、まったく判らなかった。
オリジナルの小説です。 最近なんだかオリジナルも書きたいナァと思うようになりまして。 ちょこちょこかき始めました。
小学校の時からずっと頭にあるお話なんです。 色々見たことあるような設定(笑)があります。 さらに長年脳内で放置していた所為か、 発酵してしまっているようです。
ある程度溜まったら、 WEBとかで発表したいな。 自己満足ですが。(苦笑)
居ないと思うけど、 転載禁止。稚拙な文章だけど、自分の大切な子供ですから。
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