貞子。(早矢花)のきまぐれ日誌

2007年08月27日(月) 膿み出し。



「猫、が喋った…」
『あんま驚いてないね』
 黒猫が面白そうに笑う。笑う、というのは妥当な表現ではないが、確かに声音は笑っていた。
「…驚いてるよ、充分」
 そういう風に見えるのは、性分だから仕方ないと思う。あまり物事に動じないし、感情が表に出ないのだから。説明しても仕方がないから言わないが。
『そうは見えないなぁ。…ま、いっか』
 トン、と重さを感じさせないで、黒猫は腕から飛び降りた。青色の瞳がじっとメイを見上げてくる。
『すごいね、メイの力』
 いつの間にか名前を覚えたらしい黒猫は、先ほどの戦いで発揮したメイの力を褒めた。
 しかし、褒められた当のメイは、顔をしかめた。それはそうだ。メイにとってこの力は好まざる、忌々しいものに過ぎない。
「別に…凄くなんかない。化け猫に褒められても、嬉しくない」
『化け猫じゃない!俺はヒトだよ!!…ちょっと色々あって、この猫の身体使ってるだけだ』
「どう見たって猫…」
『だぁかぁらぁ、色々あってって言ってるジャン!!』
 牙を剥いて反論する猫を尻目に、メイは台所へ向かった。その後を猫が着いてくる。
『俺さー、悪いヤツから逃げて来たんだよ。で、途中どっかに身体を置いてきちゃったんだって。でね、そいつから身体を取り返す手伝いをしてくんない?』
 グラスに水を注ぐと、一気に飲み干す。こんなバカげた話もばかばかしい状況も、直視したくない。黒猫の話も存在も無視するように、メイはもう一杯水を飲み干した。
『あ、ずるい。俺も咽渇いたよー。ちょーだい、ちょーだい』
 足元に纏わり付くから、軽くいなした。すると、猫は床を蹴り、シンクの上へと身を躍らす。猫は勿論運動神経が良い動物だが、それ以上に信じられないほど、身が軽い。なにせ、予備運動がまったく無かったのだ。
「シンクに直接上らないで、汚い」
 なぎ払うようにして追い返す。それでも、メイは深皿に水を張って、床においてやった。シンクを蹴って、黒猫が水に飛びつく。
「それ飲んだら出てって」
『ヤダ。俺行くとこないし、メイしか頼めるヤツいないんだもん』
「冗談じゃないわ。…出てって」
 首根っこを掴むと、そのまま窓際へ歩いていく。そして開け放した窓から茂みに向かって、猫を放り投げた。猫は運動神経がいい。なにより化け猫だ。投げたところで死にはしないだろう。
『何すんだよ、行くとこないって言ってんだろ!』
「!」
 振り返ると、黒猫が床に座っている。放り投げて間もないし、窓はたった今自分が閉めた。いつの間に入ってきたのか、まったく判らなかった。



オリジナルの小説です。
最近なんだかオリジナルも書きたいナァと思うようになりまして。
ちょこちょこかき始めました。


小学校の時からずっと頭にあるお話なんです。
色々見たことあるような設定(笑)があります。
さらに長年脳内で放置していた所為か、
発酵してしまっているようです。


ある程度溜まったら、
WEBとかで発表したいな。
自己満足ですが。(苦笑)


居ないと思うけど、
転載禁止。稚拙な文章だけど、自分の大切な子供ですから。


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