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2022年09月24日(土) Essay

【O先生のメルマガより】

最近の入試は課題英作文(自由英作文という名の不自由英作文問題)が重視されていますよね。九州大学入試でも英作文の配点が増えたので、それに合わせた対策を実施しています。

対策の一つとして毎週木曜日の放課後に九州大学試験用の特別講座をやってます。ここ2週は英作文の練習をしました。合計で200枚以上の添削をしたんですが、彼らの答案の英文がとても読みにくいんです。どうしてかなぁ〜って思ったら、英語が下手だからじゃないんです(英語は下手なのですが)。英語を書く前にやっている日本語の下書きの時点でとても読めたものじゃない文だからなんです。

英作文で大切なのは論理構成と説得力です。日本語の時点で説得力がなく、しかも読みにくい文であれば、それを英訳したところで読めるものになるわけがありません。だから僕はまずは日本語で文章の書き方を練習するようにしました。

僕はこの学校に赴任する前は新聞記者になろうかと思って、マスコミセミナーという文章を練習する学校に通っていました。たぶん1000字くらいの短い文を1000本以上は書いて添削してもらいました。その時に気がついた文章のコツがあるんです。それは「できるだけ具体的に」ということなんです。

理屈っぽい生徒の文章は大体話が大きすぎたり、どっかの本で読んだことばかり書いてあるので面白くありません。実際、生徒達に、例えば「争い」のような大きな話題について書かせると、必ず「世界平和」とか「国際紛争」について書きます(今なら間違いなくウクライナのことを書く生徒がいます)。生徒が書いた国際紛争の話なんて説得力があるはずがありません。だって本当のことは何にも知らないんですから。

そうではなく、自分が知っている具体的な「争い」について書かせるんです。例えば兄弟げんかも一種の争いです。近所の人とゴミ捨てのことでもめても争いです。そういった自分が知っている具体的な争いを思い起こさせるのです。彼らが思い出せるそういった争いを通じて、「争い」の本質を考えると、ある程度の説得力を持った主張が出てきます。彼らには具体的なことを突き詰めて抽象的な主張を考える訓練が必要なのです。

この考え方を舅クス路と幾つかのメリットがあります。その一つに自分に起きた具体的なことなのでとても書きやすくなるというのがあります。実際、生徒は自分に身近な話題は結構うまく書けます。だからまずは「携帯電話」とか「校則」などの身近なお題だを書かせるといいでしょう。

もう一つのメリットは自分が経験していることだから説得力がある文が書けるということです。背伸びして本や新聞に書いてあるようなことを書こうとすると、よく理屈が分かっていないせいで論理の飛躍が起きたり、あるいは間違った結果を導くことがあります。自分の経験を元にしているとこういった間違いが減ります。

文章を書くことは自分自身をさらすような行為だと思います。文体や内容は英語力以前の知力や知性をあらわにすることになります。だから入試では採点に手間がかかっても課題制作文が出題されるのだと思います。英語力以外でも身につけさせなければならない力があるということですね。

そうなると僕たち教える側もただ英語の知識があればいいというわけではなくなりますよね。教師は文体や内容に深みを持たせるためにも様々な本に触れておかねばなりませんし、その知識をもとに自分の身近なことに目を向けなければなりませんよね。

僕ももっと本を読んで知識を手に入れて、色々なことに気がつける自分になりたい、いつもそう感じてはいます。できてはいませんが...

今週も最後まで読んでいただき感謝!!


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