ぼくが眠りこけている間に、春一番は、通り過ぎてしまったらしい。惜しいことをした。ぼくは、あの春の風が好きなのだ。甘い埃の匂いが鼻をかすめる瞬間がたまらない。だって、何故だか、内側から体が暖かくなる。山田詠美「ぼくは勉強ができない」より