+女 MEIKI 息+
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2006年04月11日(火) 花散し


 あなたからの暖かさですっぽりと包まれている時、あなたのその気持ちにはほんの少しの澱みもなくまっすぐに染み込んできて、わたしの内側から広がるそれはあなたと同化することに焦がれ、時に切なさで息をすることさえ苦しく胸が押し潰されそうになる想いもゆっくりと塗り替え浄化させていく。欠けた部分を埋めたいと望んできた渇きを柔らかなもので満たし溢れさせていく。
 空腹が満たされ傍に居るという安堵で深い眠りに落ちたとしても、目覚めたその先にあなたが居るという確かな事実があったとしても、またすぐにその眼差しに抱かれたいと願う。
 撫でてくれとせがむ猫のようにあなたに擦り寄る。どこか触れていないとすぐに不安になる、触れていないと心が途端に騒がしくなってくる。その度に億劫がることなく応えてくれるあなたを、わたしは失いたくないと心から切に想う。
 暖かなもので包まれたその時は、これから先の物理的な距離にさえあなたの気持ちがそう容易く変わることは無いと思えていたはずなのに、それなのに聞き分けの無いこの女は、ほんの少しも離れていることさえ出来ずにその心地よさを欲しがる。飽くことなく欲しがり続ける。
 逢えなかった夜には素直に欲しがることもせずに、あなたには伝わらないのだと独りごちになり欠けた穴を自分で見つけては押し広げていく。
 穴を覗き込んであの日の暖かさを手探りで探すけれど、そんな気持ちのままじゃ在ったところで探し当てられるはずもなく、元に戻そうにも自分では修復することが出来ない。
 引っ掻き傷やだらしなく広げられた穴を隠そうとすれば、尚更に素直に欲しがることが遠くなっていく。

 そして週末。
 いとも簡単にあなたの手で修復されている。




 聴こえないフリをしたのは、もう一度聴きたかったから…9点



香月七虹 |HomePage