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2011年10月21日(金) 放射能の事は女将に聞け 1/2



 鳥取県の大山に行った。
友人達は曇天の中、頂をめざして登って行ったが、山頂には一緒に行かなかった。三十数年前に登った時、既に山頂稜線のがれ場は、踏み込んでは行けない程の崩落が進み、風景は殺伐としていた。ただ秋の風に乗って無数の赤トンボが待っていた事が記憶に残った。
登って面白い山と、眺めておくだけにした方がいい神々しい山がある。前者に対してはいろいろあると思うが,後者に対してはたった一つ、それは富士山である。
あれは登る山ではない眺める山であるとずっと思っている。大山は一度登っただけだが、何度も登ろうと思う程惹かれるものはない。

 登って行った二人を見送り、橋の袂の駐車場の直ぐ横の谷にクレーンブルドーザーが入り、作業しているのをしばらく見ていたら、昨年の新穂高温泉の谷の治山治水工事と重なった。
ここでもシジフォスの神話が現実となっていた。過去復旧工事九回、渓間堰二百数カ所、他工事二十数カ所と書かれた工事説明があった。日本の多かれ少なかれ山谷を持った地域はまったく目立たないが、ここと同じような果てしない工事をやっている事が想像出来た。
ある意味、山海に自然なんて存在しない。人が何らかの形で自然をコントロールして日本はある。

 友人達が無事下山後、山道を抜け年間十ミリシーベルトを出し続けている三朝温泉に向かった。日本で同レベルの放射線を出している場所に富士山がある。
ICRP(国際放射線防護委員会)の今となってはその根拠となる学説は完全に崩壊しているにもかかわらず、未だ公式見解は年間一ミリ〜二.数ミリシーベルト以上浴びると危険だと根拠のない強弁をしている。
日割り換算してもそれの十倍を今回は浴びる事になる。

ここに人は約千年前の昔から住んでいる。人々は腹の中で笑っているだろう。
ラジウムはラドンガスにして深く肺に吸い込んだ方が体には効果的だと言う事は、近所にある岡山大の医療研究センターの調査等で解っている。
この界隈の癌罹患率は日本各地の平均の半分で、九十百歳の人も多いと宿の女将が話していた。
 驚いた事に、京大の原子力関係者や反原発の社民党等がこの地に来て何事かを講義に来るというのである。講演に来て、ここの水で調理された料理を食って温泉につかって帰ったとしたら、完全な分裂病のあほである。

 過去営々とこの地でラジウム温泉の宿を営み続けて来た人々、ここで生き、生計を立てている人々に対して、この度の福島をきっかけにこの地に警告を発しに来たと言う。
あ・ほ!

 福島原発事故に関して不思議な事がある。
人は自身の健康状態等を普通、誰に見てもらったり、適切な判断をしてもらうのだろうか、医者だろう。
科学者に自身の生死に関わる事をゆだねはしないだろうに、なぜか放射能に限って、科学者の意見ばかりを信じてマスコミは報道し、医者の意見を聞かない。
医者で福島原発の放射線量で騒いでいる人はまずいない。
そんな事を思いながら、岩風呂に入って思い切りラドンガスを吸った。


 新田次郎の小説、八甲田山死の彷徨で有名になった青森歩兵第八師団第五連隊の津川謙光連隊長はこの事件(雪中行軍で9割が遭難死)後責任を取って辞任を申し出たが、戦争が近いので却下され、日露戦争で任務を果たし戦傷退役後、この地に住み三朝のために尽力した。

…続く。

放射能の事は女将に聞け 2/2










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