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2007年12月21日(金) ラヂオ体操



 フィルターのかかった放送を多く流すNHKにしては、珍しく日本の良き点を留学間もない外国人にレポートさせ、いくつかの候補の中からクール(かっこいい)と思うものを選ばせて、最後に日本人司会者が選ぶと言う内容のクールジャパンと言う番組がある。BSの1か2か、だが、これが面白い。とにかく留学してすぐの日本だから、彼ら外国人にとって日本は想定外の驚きの国なのが見ていてよく分かる。自然や建築、文化にしても、生活にしても「驚き」なのだ。
先日、友人と酒を飲んでいて「ラヂオ体操」の話がでて、このクールジャパンの番組を思い出した。町行く人を引き留めてこのラヂオ体操の曲を流してみる。日本人なら当然のようにサラリーマンもおばちゃんもじいちゃんも、体が曲に合わせて勝手に動く。
確か、ピンクレディという二人組が歌って踊ってヒットしたUFOと言う曲も、町行く女の子、女の人に曲をかけると殆どが踊れたのを見たことがあるが、これは、ヒットした一時期に影響を受けた人(主に女)に限られて普遍的には行き渡っていない。

 このラヂオ体操出来るかチェックを、留学生君はあらゆる所で試み、誰でも即座に出来るので心から驚嘆したようで、これぞ共同体を培うものの一つだと評価していた。他の学生の一人は信じられないとも言った。
この無意識の「和」は日本独特のものだろう。
そう言えば、小学生の頃夏休みの早朝、学校にラヂオ体操をしに出かけて、帳面にはんこをついてもらった記憶がある。行かねばならないと思っていった覚えはない。たん譚は田舎が徳島なので、二時間目と三時間目の間だったか、全員が校庭に出て、阿波踊りを踊る時間があった。だから、全員が踊れた。今はその学校も、各学年二クラスくらいしかないらしいので、その行事がどうなっているのか分からない。これでは全員と言ってもしれている。

 アメリカの保険会社が、顧客がはやばやと健康を害して死んでもらっては商売あがったりなので、長いこと生きてもらうために始めた?のが原型で、アメリカでは廃れたが、日本では、1928年に当時の逓信省簡易保険局(現かんぽ生命保険)が制定し、同年、昭和天皇が京都御所で即位した、御大典記念事業の一環として放送を開始した。正式名称は国民保健体操。
照宮成子内親王もラヂオ体操に御執心なりと言うことが伝わり、当時ラヂオ放送と言うこともあって、アナウンサーはパンツいっちょうで体操をしていたのが、翌日からは蝶ネクタイに燕尾服で以後行ったという笑い話のようなほんとの話が伝わっている。
 今、放送されているのは、ラヂオ体操第一と第二で、戦前のベートーベンの曲で行われた第三は戦後新しく第一第二が出来て廃止された。
第一は、昭和26年(1951)に服部正、第二は翌年團伊玖磨によって作曲された。
第一は、小学校から、職場まで幅広く行われ、主に事務職向けの体操だと言われている。一般的にはラジオ体操と言えば、第一体操を言う。
 第二体操は主に、小学校から高等学校などで行われ、作業などを行う現業向けの体操だと言われている。
このラヂオ体操は、休止されたことがほとんど無く、1989年1月7日、昭和天皇危篤の臨時ニュースの時、同年、1月8日、前日の昭和天皇崩御に関連した特別番組放送のため休止した。
また、2006年7月5日、北朝鮮のミサイル発射ニュース放送で、2006 FIFAワールドカップ準決勝「ドイツ×イタリア」が総合テレビから教育テレビに移され、それが延長戦に入ったため、テレビ体操も5分遅れで放送された。

 世代を越えて伝承されるもの、きっかけは何でもいい。親子三代で歌える歌。祭り、行事、日本は箸の上げ下ろしから何から、これらの集大成の国である。
奈良の法隆寺は遺跡ではない。仁徳天皇陵も遺構ではない、天皇家は現存している。
こういった大きなものではなくても、日本人が無意識に取り入れて、知らぬ間に定着したものは大切にしたいと思う。留学生の何人かは持ち帰って広めたいと言った。










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