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2002年05月11日(土) 消えていく唄



いくつ知ってますか?
1.この道-
 この道は〜♪いつか来た道ィ アア〜そうだよ〜 …
2.待ちぼうけ
 待ちぼうけ、待ちぼうけ〜あるひせっせと野良かせぎ〜
3.かなりや
 唄を忘れたカナリヤは、後ろの山にすてましょか〜
4.靴がなる
 お手手つないで野道を行けば、みんな可愛い小鳥になって〜
5.背くらべ
 柱の傷はおととしの五月五日のせいくらべ〜
以下、

 十五夜お月さん 浜千鳥 月の砂漠 野菊 雪の降る街を  めだかの学校
夏は来ぬ 村の鍛冶屋 村祭り 汽車 桃太郎 埴生の宿 赤い靴 てるてる坊主 我は海の子 他。

 これは今年度から全部音楽の教科書から消えた曲である。じいちゃんや婆ちゃんが子守りの時に口ずさんでいた曲も入っている。これらの曲の中には、言葉狩りの末に消えていく物や、今使われていないからという理由(鍛冶屋や汽車)で消された。
 国語からも漱石・鴎外が消えた。千円札の漱石をどう説明するのだ。そういうつながりを切って置いて、お札にしてどうしようというのだ。今はユーロになって消えたけれど、フランスで、サンテグジュペリの星の王子様がお札になったのも、物語が読まれ、語りつがれているからではないか。
鴎外や漱石を読めなくしたのは、二昔前の国語審議会のせいである。文語文を廃して口語文にし、歴史的仮名遣いを廃し現代仮名遣いにした。その結果、読めなくなった。そうしておいて、教科書に載せるのをやめるというのである。己の首を己で絞めていく。やがて、かっての平仮名論者(文字は全て平仮名でと言う主張)やローマ字論者(全部ローマ字で)の思うとおりになって、目出度く日本は滅亡する。

 歴史とは大層に世界史・日本史などいわなくても、祖父から父、父から子と連綿と自国語で語り継いでゆく共通するものを持つことである。それを今の文部科学省は壊していく。
 テレビの雛壇に座っているわかい娘のほぼ90%が茶髪である。
映画のハリーポッターや指輪物語がヒットする。指輪物語なんて、イギリスにまだキリスト教が入る前の神話の世界だ。
そう言うのには、異常に興味をしめすのに、自分達の神話はといえば、多分なーんにも知らないだろう。教科書で教えないからだ。だから天照大神(あまてらすおおみかみ)をてんてるおおかみ、日本武尊(やまとたける)をにほんぶそんなんて読んだりするのだ。
神話の世界から現在までつながって、その子孫が生きているというのは日本だけなのだ。

 音楽はといえば、異常な言葉狩りや、上に書いたような安易化で、ようしゃなく削っていく。高校の教科書には載せてるという曲もある。が、高校の音楽は選択科目であって、美術を選べば、その曲は知らないことになる。

 日本の代表する音楽家山田耕筰も削られた。ゆとりのためだそうである。
我が国最初の交響楽団を成立させた。作詞・作曲も只のまねっこではなくて、歌詞の抑揚に上下動する旋律の流れを合わせることによって、日本語の語感を生かすことを工夫した。最初にあげた「この道」もその理論でかかれている。(横田憲一郎・教科書から消えた唱歌・童謡)


 数学者の藤原正彦は、次のように言っている。
「今年の四月から小学校では、英語、パソコン、創造性や起業家精神などを教え始めます。どれも小学校では不要です。小学校では、一に国語、二に国語、三、四がなくて五に算数、あとは十以下なのです。…国語こそがすべての知的活動の基礎であり、…国際人になるために、英語よりはるかに大切なものです。」(三月五日/産経)










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