
この人形は 実家の母が私の娘達に作ってくれた物です。 三姉妹のために、三体も作ってくれました。 一体は娘達が遊びすぎてボロボロになり、修理のため 実家にあります。
久々に出して 居間の棚に飾っておきました。 母が遊びに来たらさぞや喜ぶかと思ったからです。
日曜日、M市から遊びに来た母は それを見つけて、こう言いました。
「あら、このお人形は誰が作ったの??」
最初は母特有の「照れ」かと思ったのです。 でも、何度も、訊ねます。目が本気でした。
私 「何、言ってんの、おかあさんが作ったんでしょ」 母 「いや、私ではない、私は作った覚えがない、絶対違う 顔の表情が違う、この顔の綿の入れ加減も違う、絶対わたしではない」
大変な押し問答になってしまいました。
長女三女呼んで、遠くの大学の次女にまで写メを送ったり ちょっと大騒ぎになりました。
夜になって帰宅した母に電話してみたら 実家に一体残った人形と 顔も綿の固さも同じだったそうで、母は、自分が作ったと 納得したようです。
あんなに人形作りに入れ込んで、次から次へ作って喜ばせてくれたのに・・・
母は74歳、超元気者で、弟運転のドライブが大好き、 暇なときは地図を眺めている、という人間です。
「いつかトシをとって、全部忘れてしまったらどうしよう」と 母は 言うけれど 「すべてを忘れてしまったら、その時はもう本人は悩む必要はないんだよー」 と言って 笑い飛ばしました。
笑い飛ばすしかありませんね。
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