日々の泡・あるいは魚の寝言

2005年10月10日(月) 雲の名前を

☆今日はうちの姪の幼稚園の運動会でした。
朝起きたら、咳が取れていたので、バスに乗って、昼前から、おくれて応援に行きました。
姪っ子は年長さんなので、今年が最後の幼稚園の運動会。マーチングで小太鼓たたいてかわいかったです。私はみていなかったのですが、かけっこでは一番になり、組みたいそうでは、一番上で手を広げて立ったとか。
運動会が終わってから、「楽しかった?」「自分で満足がいく感じだった?」ときいたら、思い切り肯定してうなずいていたので、まあ楽しかったし、ベストを尽くしたのでしょう、本当に^^
空には鰯雲が広がっていて、私は姪と同じ目の高さになって、雲の名前を教えました。姪は、自分は本当はあの雲の名前を知っていたけど、たまたま忘れちゃっていたのだ、と、主張していました。

☆グラウンドは、実はものすごく暑かったので、姪のお母さんの手作りの美味しいお弁当を堪能し栄養を補給しつつも、私は結局はばててしまい、帰りはひとりタクシーで帰りました。
すると。そのタクシーの運転手さんが! 怪談の名手だったのです。
タクシーの怪談の(笑)。
いやもう、車内の時間の、涼しかったことよ(笑)。
長崎のローカル幽霊ネタをいくつか教えていただいたのですが、地名をここに書くと、なんだかやはり差し障りがありそうなので、書けないのですが…
こわかったこわかった(笑)。雨の日に二人乗りの自転車とすれ違うと…首がなかった話、とか、自殺の名所の話とか、お化け屋敷の話とか、いわゆる普遍的な、タクシーに乗る幽霊の話とか。

道路はとても混んでいたので、到着までには時間もかかり、タクシー代もかかったことはかかったのですが、そんなの怪談の語りへのお礼にしたっていいくらい、楽しく涼しい怪談独演会でした^^
ありがとうございました、今日の運転手さん。

☆最近、サイトの若い衆と、おとなと子どもの関係や境目について話すことが多いです。
でまあ、私自身が、小中学生とリアルやネットで会話するとき、伝えようとするのは、「あなたはいつかおとなになるのだから。ずっと子どもじゃないのだから」ということです。
「あなたはいずれ、ひとりで、自分の足で歩いていける存在にならないといけないんだよ。今は世界のことがいろいろわからなくて、不安だったり、人に甘えたりしたいだろうけど、少しずつ手を離して、ひとりで歩いていけるようにならなくてはね」と。

自分の知能や能力を信じて、使うこと。人に質問せずに、自分で調べようと努力すること。安易に教えてもらおうとしないこと。
辛いとき、さみしいときも、なるべく人に甘えずに、自分でがんばれるだけがんばろう。でも、自分の限界を、ちゃんとみきわめて、これはだめだと思ったら、おとなに助けを求められるようでいよう。
そして、自分より小さい子や、不慣れなことに困っている子たちには、手を差し伸べて、いろんなことを教えてあげよう。

「これからおとなになる人」「若いおとな」と話すような気持ちで、私は子どもと対話しています。
それは私が、子どもの頃、そんなふうに話して貰えることを好んでいたから、かもしれません。
子どもだからと甘やかされることも、子どもって良いねかわいいね、と属性だけを評価されることも、私は嘘っぽいと思っていました。
むしろ、性格が悪いことに、甘やかしてくるおとなには上手に甘えて、いろいろしてもらっていたのを覚えています。なついているように見せかけながら、私は決して、そのおとなたちを尊敬なんてしていませんでした。
私は子どもの頃、サンタクロースを信じない、というかいっそサンタの話が嫌いな子どもでしたが、それはたぶん、「サンタを信じるような子ども」の話をするときにおとなたちが浮かべる笑顔が苦手だったから、でした。

子ども、とは、若いおとな。一個のキャラクターをもうちゃんと抱いている、でもまだ生きることになれていない、不器用な人間です。
私はそこがおもしろいし、話していて楽しいです。

子どもは、おとなにならなくてはなりません。
それは、いまいるおとなたちが、いつかはいなくなるからです。人間には寿命があり、誰でもいつか未来には、必ず死んでしまうから。いま子どもたちの側にいるおとな、いまの社会を構成し、守り、作っているおとなたちは、この先の未来、必ず、死んでいってしまうのです。社会と子どもたちを残して。

甘える相手も、疑問を投げかける相手も、いつか必ずいなくなる。自分の足で立てるようになっていないといけない。
そうして、自分のあとをついてくる、自分より小さい子どもたちに、今度は、今の子どもたちが、自分の足で歩くことを、きみたちにはそれができるんだよ、自信を持ちなさい、と、教えてあげなくてはいけないんだよ、ということを、私は少しずつ、子どもたちに話しています。
今度はあなた達が、小さい子を守り、育てていかなくてはいけないんだよ、と。

新しい社会を作っていくのは、これからおとなになる今の子どもたち。
「おとななんか汚い」とか、「世の中なんてどうしようもない」というのはかんたんですが、いずれそのおとなになり、世の中をしょっていかなくてはいけないのは、誰でもない、あなたたちなんだよ、他の誰かが、かわりにそれをしてくれることはないんだよ、と…
そんなことを、私はいつも、子どもたちに伝えなくてはいけないな、と、思っています。

肩に力を入れすぎないようにして。
日常の中で、本の中で、軽くかろやかに。
空を指さして、鰯雲の名前を教えるような、そんな気持ちで。


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