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■ 2004年08月26日(木) * 神になった少女の話 何も知らなければ良かった。 何も知らないでただ神に祈りを捧げるだけの存在でいれば良かった。 本当の事を知ってしまったから、何でも出来るからこそ何もできないことを知ってしまったから。 「すべてに平等」という意味がようやく理解った。 それは『誰にも手をさしのべず、ただ見守る』ということに於いての平等。 言ってしまえばそれはただの言い訳なのかも知れない。 けれど、1人に手をさしのべてしまったら、それは特別扱いという事になってしまうのだ。 誰かが幸せになれば、それによって不幸になる人も居るという事実。 誰かの願いを叶えれば、誰かが夢を諦めねばならなくなってしまうという事。 選択肢は2つあった。だけどどちらも今のまま暮らすことを許す物では無かった。 1つは、自ら命を絶つこと 1つは、神となり人々を見守ること 迷わず後者を選び取った。 しかし、今思えば、これは究極の選択だったのだ。 1人の人間として、神に祈りを捧げることしか出来なかった自分が、誰かの救いになれるかも知れないと、心躍らせていた。 けれど、真実は、もっと残酷だった。 特別扱いになってしまった自分は、もう人として存在することは許されなかった。ただそれだけの事だったのだ。 誰かを救うことも出来ず、ひたすら捧げられる祈りを聞くことしか出来ない。 繰り返される祈りに耳を塞ぎたくなる。 あの時、もし自らの死を選択していたならば、もう何度目の自分を生きていたのだろう。 「どうして本当の事を教えてくれなかったの!」 何度詰問しても、困ったように笑うだけ。 「神になんてならなければ良かった」 こうして、もう何度目かも分からなくなった後悔を繰り返す。 |