西方見聞録...マルコ

 

 

予定通りの休日の午後 - 2005年03月06日(日)

 さて日曜日の昼下がり、マルコは県立M病院の救急外来の廊下にいた。私たちのほかに6組ほどの患者さんがおられた。インフルエンザ時々ロタって感じでみんな一筋縄では行かなさそうなお病気でこの場に集まられたご様子。

 そしてそれぞれの患者とその付き添い人たちは決して同じソファーには座らない。それぞれ半径三メートルくらいの同心円の中心に座り、他の患者と適度な距離を保ち「感染(うつ)さないでね」オーラを発しながらガンを付け合っている。

 ひときわ高い音が響き救急車が横付けされ、ストレッチャ―に寝かされているらしい患者(多分赤ちゃん、でも布団の陰で見えない)とその母親と三人の救急隊員が血相を変えて廊下に走りこんでくる。しかし病院側はストレッチャ―をそのまま廊下に待機させる。忙しく行き交う看護士さんたちはストレッチャ―も見えないかのようにその前を行きすぎる。

 救急隊員のお兄さんが一人の看護士さんを呼びとめ「あの,小児科なんですが」とドスの聞いた声で言う。
看護士「ええわかってます。」
救急隊員「よろしくお願いしますよ」
看護士「そのままお待ちください」
 となかなか乾いているけどそれなりにそれぞれの存在を賭けた会話が交わされる。

そんなとき
「山田Kちゃ〜ん診察室におはいりください。」
とよばれる。ひえ〜救急車の患者よりも前かい。

 さてなんでマルコが日曜の午後そんなところにいたのか。

 こんなに良く晴れてうららかな日曜、昨日夜には1号さんのお熱も下がり,今日は久しぶりに法隆寺にでも散歩に行こうかとはなしていた楽しい日曜。ベランダで洗濯物を干していたマルコのところにおKさんがサンダル持って現われマルコの足元に絡み付いて戯れ始めた。マルコが洗濯物を干し終わり中に入るので「おKはいろう。」というと「いやんいやん」というようにベランダに寝転がろうとするおKさん。「だめだよベランダで寝たらばっちいよ。」とおKさんの腕を引っ張り、立たせようとした。そのとき何かが起こったらしい。

 家に入っておKさんが「いたいの〜いたいの〜おててがいたいの〜」とファミリーメンバーに訴える。別に腫れているわけではないがこころもち腕がダランとしている。

 こ、これは,脱臼(もしくは肘内症)か〜?

 とりあえず日曜でもやってる整形外科を案内してもらおうと119に電話をする。そうすると以前のKさんが入院したことのある県立M病院が本日の休日診当番だという。そこでM病院に電話をすると「今ものすごく救急が込んでいて電話もつながらないからかけ直してくれ」と総合受付で言われる。

 そうこうしているうちにあめでおさんが焼いていたごまパンが焼きあがり皆でお昼ご飯を食べることにする。おKさんはとりあえず痛くなくなったようですでに1号さんと何かして遊んでいる。

 痛くないのかな?脱臼じゃなかったのかな?と不審に思う。何を隠そうこのマルコは幼少時、腕を脱臼させてばっかりいた。三回はやった。しかしその都度痛かったような気がするのだ。このおKさんの余裕っぷりはなんか違うような気がする。
どうしようか、混んでておそらくインフルエンザ渦まくM病院の休日救急に行くべきか?それともあしたを待って近所の整骨院にいくべきか?

 ご飯を食べ始めるとおKさん元気に食べるがしかし痛いほうの右手を使わず左手で食べており、右手は相変わらずダランとしている。

 そこで稲田堤時代の1号さんの親友Sちゃんのママに突然だが電話することにする。Sちゃんママはクローズアップ現代で国谷さんに紹介されたことのある保健士さんで、現在は保健所を退職してなんと稲田堤住人なら誰でも知ってるあの!I助産院で働いておられるのである〜。
そんでついでに言っちゃうと稲田堤時代のマルコの心の恋人(片思い)でもある〜(あー言ってしまった、隠していたのに)。

「痛くないわけじゃなくて痛くないポジションを保持しているだけで、お母さんが見ておかしいんならそれは肘内症でしょう。整形外科か接骨院にいきましょ〜」という電話診断をいただく。
そうだよね。わかったうんうん。インフルエンザ渦巻くM病院休日救急に行くよ。ちょっとなつかしいSママの声を聞いて涙が出るほど感動したりしたのだが、まあそれは置いといて休日救急だ!

 でもでもやっぱインフルエンザは怖いのでこの辺で休日やってる接骨院はないかな〜。あ、そうだ斑鳩ジモティーにして1号さんの現親友のAちゃんママに電話をしてこの辺で日曜やってる接骨院はないかきいてみよう。
「あるで〜柔道の山下のケアしてたものすごいトレーナーがやってるすごいところがあるで〜、ちょっと電話してみるから待ってなや〜」といつもながらの男前のAちゃんママ。しかし「あかんわ〜先生あしたからなんかの海外遠征についていくんやて。今日はあかんって。でも肘内症だと首の後ろの血管が詰まったりしてようないから早く病院行きなって」とのおりかえし電話が入る。

 マルコ持てるママ友の人脈フル稼働したが答えは一つ、M病院に行けってことか。それでまあM病院に再び電話したのち、チャリで法隆寺門前まで行きそこに常駐しているタクシーに飛び乗って、冒頭の場面のようにM病院の救急外来に行ったわけだ。

 診察自体は三秒で終わった。ぽっきり入れてもらってハイ終了。おKさん泣きもしない。

 お医者さんも「外れてたのかな〜?まあ一時的にはずれてたけど入ってたのかもね」ということで解放してくれる。廊下に出ると救急車で連れてこられた赤ちゃんのケアが看護士さんによって始まっていた。良かった良かった。しかしあの施術で「手術料5100円」てちょっと高い。

 あめでおさんに電話し今から帰るというと1号さんを連れて法隆寺まで散歩に行くから門前で待ち合わせて一緒に帰ろうということになる。

 結局予定通り法隆寺を散歩して昨日の日記で触れた「聖徳」の校正刷りを法隆寺本坊に提出して帰ることになった。確かに予定通りなんだが、なんだかテンションの高い「休日の午後」であった。


追記:
ちなみにおKさんの手は日曜の夜もまだなんとなくダランとしていたので、月曜の朝に近所の整形外科に行った。お年寄りでの寄り合い所のようにものすごく混んでいたが、老先生はなかなか腕に覚えありなタイプで「ちゃんとはいってないな」といっておKさんの腕を入れなおしてくれた。おKさん今回も泣かなかった。脱臼って痛くなかいのかな〜。私の豊富な脱臼経験からは、痛かったように思うんだけどな〜






















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