西方見聞録...マルコ

 

 

4月の晴れた空のした(5)いちかばちか - 2004年06月11日(金)



 まだやるのか。そろそろやめます。忙しいので。
 今度こそ最終回を目指します。
 退避勧告を受けた危険地域に民間人がのこのこ行って良いのか?

 NGOが活動している地域で鼻歌歌いながら歩ける地域ってのはまずございません。そして鼻歌歌って歩ける地域には支援のニーズも無いのです。政府は渡航自粛地域だの注意喚起地域だの(詳しい呼称はこちら危険地域で活動するNGOにも補助金や助成金を出してその活動を支援しています。外務省・財界が16個のNGOと共同で行ってるジャパンプラットフォームなんてイラクでも活動してます。ジャパンプラットフォームに参加してるNGOもこんな活動をしています。

 一般論ですが。NGOの関係者は活動地域入っちゃえば何とかなる場合が多いと思います。ネットワークもあるし、いざと言うときかくまってくれる友達もいるかもしれない。しかし活動地への移動というのはどんな高度な活動をしているNGOでもリスクは避けられません。まあこのリスクをできるだけ小さくする努力の仕方でNGOのプロ度、アマチュア度は分かれるのかもしれませんが、どんなプロがリスクを小さくする努力をしてもだめなときはだめで、えいやっといちかばちかに賭ける瞬間ってのは必ずあると思います。

 先に射殺された日本の外務官僚も今回射殺され歴戦の戦場カメラマンも移動中、いちかばちかかけて、残念ながらばちの方向に転んでしまったものと思われます。

 なぜ自分の命を的にいちかばちかに賭けるかというと、リスクをとっても行う価値のある緊急度の高い仕事がそこにあるからではないかと思います。そこで人質事件に戻りますが、あのファルージャ掃討が起こっている折、なぜかの人質となった人々はリスクを取ってえいやっといちかばちかにかけたのでしょうか?

 ファルージャを撮影したいというフリージャーナリストの心意気はわかります。ファルージャを密室にしてはいけない。何が起こっているのかを世界に発信する必要性は私にもわかります。

 高遠さんのほうもとても理解できます。高遠さんは他のNGOの支援対象からもれてしまうバクダッドのストリートチルドレンの中の比較的年かさの少年たちを支援していたと聞きます。ストリートチルドレンはある程度の年齢に達するとその土地ならではの“就職”をします。ケニアのものすごいたくさんいたストリートチルドレンの皆さんはミドルティーンになると、乗合バスの呼びこみの仕事をはじめ、物売りになったり、警備員の仕事についたりします。イラクの少年たちのリクルート先はどこだったのでしょうか。高遠さんはあの時少年たちのゲリラ化というか民兵化を恐れ、あの時期、バクダット入りを急いだのではないかと私は考えます。ゲリラも民兵もそれなりのスキルが求められると思いますがファルージャでの消耗戦ではもう誰でもウェルカムだったのではないでしょうか?

 少し証拠も無いのに好意的解釈をし過ぎのような気もしますが。それが私の片よりですのでどうかご容赦を。

 今井氏に関しては氏の活動が少し私の専門から外れるのであんまり推測できないんですがきっと今後も業界人としてやっていかれることでしょう。業界のどっかで出会ったら聞いてみたいと思います。あの時君を駆り立てのは何だったのか?と。

 さて高遠氏に関してはNGO的に現地で活動するならもうちょっとプロ化せよ、と言うご意見もあります。そうでしょう、そうでしょう。外務省も世銀もUNDPもNGO職員のキャパシティービルディングプログラムを花盛りでやってます。NGOを国際協力のプレーヤーとして一人前にするためにいろんな試みがあります。東京の大きいNGOではたいていそういうプログラムに人を送って近代化というかプロ化を急いでおります。

 私自身、1昨年までNGO職員をしており、そうしたキャパビルプログラムに参加したことがあります。そのとき抱いたある危惧があります。それは「市民活動の草の根からの遊離」です。普通の市民(主婦や学生さん)はボランティアとして無料で労働を提供し、国内で封筒の宛名かきばかりしている。給料もらって、海外で華々しく活動するNGO職員は全員アメリカやイギリスの大学院で修士もしくは博士を取って実家の父は外交官。つまり、市民活動の中での階層化が進展しているように思いました。私はNGO職員であると同時に東京にいるころも週に一時間専門学校で国際協力の現場で働きたい学生を教えていたのですが、専門学校の学生はものすごい学歴差別にあっていました。NGOでボランティアをするのでも有名大学の学生たちは将来の幹部候補生として扱われるのに専門学校生はあからさまに雑用を担わされていました。

 高遠さん自身は実家も裕福なようですが「組織に属さない個人活動家」であろうとする彼女の態度に実はちょっと共感し、組織にからめとられないと生きていけないマルコとしてはちょっとうらやましいのです。

 市民活動もしくはNGO/NPO活動の特性が多様性であるならばすべてが最初っからプロである必要はないかもしれません。素人がプロとして成長する過程を追体験するような活動があっても良いと思います。懲りずにめげずに高遠さんはイラクに行きなさい。

 そこにリスクをとっても行う価値のある仕事があり、その仕事の適任者はきっとあなたなのだから。





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