【復活!】ダイエットなDIARY
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2001年08月03日(金) 酸素


木曽御嶽山へいってきた。
木曽節で有名なオンタケサンだ。
なんじゃらほい。


八王子から中央高速に乗り、諏訪湖を過ぎて長野道へ入る。
一つ目の塩尻インターで高速を下りると、そこからは国道19号線を50キロほどひたすら南下する。
国道脇にはそばと漆器の土産屋が目立つようになる。
道の両側には緑の深い山が迫っている。

木曽福島を越え、県道20号へ入る。
山沿いの道だ。
山を切り通した卵形のトンネルの幅は狭い。
王滝川という渓流の水源に向かって車は上ってゆく。


木曽ダム、牧尾ダムなどを過ぎる。
牧尾ダムは御岳湖というダム湖になっている。
車を止め、しばし景観を楽しんだが、今年は降雨量が少ないせいか水量は4分の1ほどで、ひび割れた湖底があらわになっている。


泊まったのは山荘森本というところ。
いくつかある御嶽山の登山口のひとつである王滝口ルートの、これが3合目あたりにある。


そこで1日目の宿をとり、翌日の登山にむけて就寝する。

ぢつは前日、夜型人間のオレは1時間ぐらいしか寝ていなかった。
そのまま長距離のドライブでここまでたどり着いたので死にそうに疲れていた。
これは爆睡できるだろう、と思っていたが甘かった。

デリケートなオレは、同室の先輩のイビキで眠れず、後輩たちの部屋へ非難したが、そこでも後輩のイビキで眠れず(笑)、安眠の地を求めて夜中に宿をさまよっていた。
時刻は朝の3時ごろである。

結局、荷物部屋にしている狭い部屋を見つけ、かってに布団を引き出して寝た。
いつ眠りに落ちたのかは分からないが、午前4時ごろであろう。


で、6時に起床である。


登山スケジュールは朝早いのである。

朝食後、宿で作ってもらったおにぎりを持ち、車に乗り合わせて、一同出発。

登山は7合目までは車で行ける。
途中、清滝、新滝などの滝があり、それらは修験などの修行の場ともなっている。
滝行である。
更衣所になっている小屋などもある。



7合目のスタート地点の標高は2089メートル。
頂上は3067メートルである。
高度にして約1000メートル、つまり1キロであるが、飛ぶことの出来ない人間は垂直に上がるわけではないので実際のみちのりは3キロある。


日ごろからウォーキングをしているので歩くことには慣れているが、それは平地での話である。




甘かったっす。



一応人が通れるようにはなっているが、ほとんど岩場のような登山道を登っていくのはものすごい大変であった。




火山のため山肌は基本的に岩場である。
角度にして40度近い斜面だ。
顔をなでるような岩肌が続く急斜面を登っていくのである。





森林限界を超えているので、高度2500メートル辺りからは森林はなくなる。
生えているのは背の低い高山植物だけである。
また、火山なので硫黄の噴気により高山植物さえ生えないところもある。
いわゆる地獄谷というところである。


足場の悪さのほかに、もっとも困ったことは酸素不足である。
高度2800メートルぐらいまで、ふらつきながらやっと登ったのである。
酸素濃度の薄いところで運動をすると、いわゆる高山病の軽いヤツになる。


一度に登れるのはせいぜい10メートルほどである。
そこまでくると目がまわってくるので、その場で数分間やすまないことには次を踏み出す気力が出ない。


霊山なので白装束の巡礼者の人たちがたくさんいる。
みな高齢の人たちであるが、彼らに次々に抜かされてしまう。
しかし、張り合う気にもまったくなれない。
おしゃべりも出来ない。
いっぱいいっぱいである。

呼吸も、普通にしていると酸素がぜんぜん足りないので、2回吸って1回吐くカンジでやっていたが、それでもぜんぜん足りないので3回吸って、2回吐くようになった。


酸素に対する飢えを知る。


おまけに歩き出す前から、二日間にわたる睡眠不足と運転ですでに疲れている(笑)。
ほうほうの体(てい)という言葉は、「這う這うの体」と書くらしいが、ほんとに這うように登っていった。

自分ひとりだったらきっと途中であきらめて帰ってきたであろう(笑)。



日差しが強い。
Tシャツは汗だくである。
空気が薄いということは、日光に対するフィルターも薄くなるから紫外線量が圧倒的である。
後で写真をみると、露出していた顔も腕も真っ赤である。


汗をかくので当然水分が失われてゆく。
持参してきたペットボトルの500mlの水はたちまち尽きる。

用意してきた地図によると途中に「一口水」という湧き水スポットがあるらしい。
そこで山の新鮮な水を補給できると思っていたが、実際にそこまで登ると、水は干上がっていた。
岩の上には金属性のひしゃくがむなしく置いてある。


ダム湖が干上がっていたのを見たときに、そこまで考えるべきであったのである。


この時点で9合目付近。
標高は3000メートルに限りなく近い。
水を補給できないことを知って、危機感120%である(笑)。


山肌には霧のような煙のようなものが絡みつくように昇ってくることがある。
これに取り囲まれると涼しい。
硫黄臭もしないので火山の噴気ではない。
きいてみると、これが登山でいうガス、つまり雲である。
雲といえば、空にある雲であるが、高山なので雲の上まで出てきてしまっているのである。
これに巻かれると、水蒸気なので涼しいが、一瞬視界がまったくなくなるので危険である。
ガスが晴れて、下を見ると切り立った崖だったりするので、もう、オレの中の危機感はレッドゾーンを振り切れてる(笑)。



しかし、この9合目あたりから身体が軽くなってきた。
なんだか呼吸も楽である。

面白いもので、高地での活動に、ついに身体の方が慣れてきたのである。
ビバ!順応!

あるいはあまりの苦痛のため、脳内快楽物質のドーパミンが出まくったのかも。
ランナーズ・ハイと同じである。


ともあれ王滝頂上(標高2938メートル)にたどり着いた。
3時間ほどかかったので、1キロにつき1時間かかった計算になる。




頂上には神社がある。
「御嶽神社頂上奥社本宮」である。


ここで昼食にする。
ここには売店の山小屋があり、飲み物なども売っている。
ペットボトルのウーロン茶を買う。
500mlで400円というぼったくり値段であるが、背に腹は変えられない。


あと100メートルほどで剣ヶ峰の頂上(標高3067メートル)であり、それももう見えているのだが、断念した。


これが王滝頂上から剣ヶ峰へいたるところである。


二の池などを見てまわる。
これは古い噴火口に水がたまってできた一種のカルデラ湖である。
付近には、高度のために雪が溶けず、万年雪が凍りついている。




身体を休めると、急速に汗が冷えて寒くなってくる。
長袖を着込む。
歩き出すと、汗が出てくるので脱ぐ。
夏の高山はそんな状況だ。



見下ろす眺めは最高である。
そして、よくもこんなところを登ってきたなあという感慨も深い。




帰りがまた大変であった。
下りは、呼吸は楽なのであるが、岩場を下るために膝や足首などが悲鳴を上げる。
オレのいたグループ以外には、だんだん誰もいなくなり、時刻も夕方6時ごろになってしまい暗くなる。

ガスとかにも巻かれて、すっかり遭難しそうである。
帰りも3時間ぐらいかかったと思う。


万歩計を宿に忘れてしまったので登山での歩数は計測できなかった。
くやしいかぎりである。

下山後、温泉で体重を計ったところ1.8キロが一日でおちていた。
高度が高いと常に深呼吸をしている状態、つまりあらゆる動作が有酸素運動になるので、脂肪の燃焼もはやい。
帰宅後、体脂肪率を計ったら20%だった。



そして、今、これを書いているのは二日後であるが、まだ足が痛いのである。
日焼けで顔もヒリヒリしている。


このダイエット日記中、もっとも過酷な1日であった。


もう、当分、山はいいっす(爆)。









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