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「RotK」感想
2004年02月15日(日)

昨日2月14日は「RotK」全国公開の日。
ということで、先行上映に引き続き
今度は日本語吹替版を観てきました。

この映画に関しては
字幕の評判が良くなく
日本語吹替の方を
支持する人が多いみたいですが
今回の第3部に関しては、字幕の方が
原作に近いような気がしました。
元の英語に近いのはどっちかというと
よく分からないのですが
でも今回字幕はすごくいいと思います。

ちなみに日本語吹替で
わたしはゴラムの声の人が好きです。
アンディ・サーキスよりも
よりユーモアのある声色が憎めない感じです。

次の日は、高校時代の友人と
ものすごく久しぶりに会いました。
友人は大学の留学生の友達を連れてきていました。
友達に会うのも久々だったけど
英語に触れるのはもっと久々でした。

わたしとその友人は
高校時代一緒にアメリカに短期留学し
ステイ先で文字通り寝食を共にしていたのですが
その時に比べるとわたしと友の英語力は
天と地ほど隔たってしまいました。
高校の頃だって大して
英語能力があったわけではないのだけど
単語や構文を理解するよりなによりも
コミュニケーションを成り立たせるには
簡単な語彙でもいいから
言われて聞き取りパッと答える
瞬発力が大事なのでしょうね。

「映画を観よう!」
ということで話は決まりましたが
わたしは急用で夕方までに
帰らなくてはならなかったので
その事を話したら
「そうか…映画は3時間半あるから
 間に合うかな…」
という答えが。3時間半の映画って…
それってもしかしてやっぱり
―――――ロード・オブ・ザ・リングでした(^^;)。
「あの、それわたし昨日観たんだけど It's OK.
 I aledy have 4 pieces of tickets for me.
 because I'm big fan of it」
というようなよく分からない日本語混じりの
英語を時間をかけて理解してもらいまた観たのでした。
実際のところ、前売りの4枚じゃあとても足りないよ
と考えていたところだったので渡りに船だったのです。

さて、この間「1部が最高」と書きましたが
この2日間見直してみてなんだか…
観るたびに感動が深まってゆくようで
3部の佳さが分かってきました。
後半はもうハンカチを手放せません。
たぶんみんなの中でわたしが
一番感動していたのではないかと思います。
ちなみに、友人は1部2部を観ていないのに
いきなり3部を観るという
無謀なことをしていました(^^;)。

―――――感動したところを記しておこう。

ペレンノール野の大決戦で
人間の王国・ゴンドールは多勢に無勢で
悪の軍勢モルドールと相見えることとなります。
国の執政・デネソールは、狂気と絶望により
戦う意思を無くしていましたが
魔法使いガンダルフの知恵により
アモン・ディンの見張り台の
狼煙(のろし)に火が灯されます。
それは特別な狼煙でした。
アモン・ディンに灯された炎は
西の山々のそれぞれに築かれ
守られてきた狼煙を次々と灯火させる合図でした。
眼下には雲しかない峰の上を
ゴンドールの狼煙は西へ西へと伝わり
遠き同盟国ローハンにまで届きます。

一方ローハンは
ヘルム渓谷の合戦に
同盟国ゴンドールの助けなしに
辛くも勝利したところでした。
ローハン国王・セオデンは
ゴンドールの窮地を知っていましたが
ローハンの危機を無視した
ゴンドールをわざわざ
救いに行く必要はないと考えていました。

そんな時、遙か遠い西方から
ゴンドールの狼煙がローハンに届いたのでした。
遠い昔、ゴンドールとローハンが同盟を結び
厚い信頼に結ばれていた頃
ローハンの騎士たちは
この狼煙が灯された暁には
必ずゴンドールに救援を送るという
堅い誓願を立てていました。

「ゴンドールの狼煙が。
 彼らは援軍を求めています」
アラゴルンが報告すると
セオデン王は、それまでの意向を
潔く覆し毅然と答えます。
「ではローハンはそれに答えよう」
セオデン王は2日かけて
ローハン中のありったけの兵を招集し
3日目の夜明け、かつての誓願を果たすため
ゴンドールへと進軍します。

その頃ゴンドールの都・ミナス・ティリスは
今や存亡の危機にありました。
あの狼煙を見て本当にローハンの援軍は来るのだろうか
と人々が不安と疑念に望みを失ってゆく中
突如角笛が高らかに吹き鳴らされ
ペレンノール野にローハンの騎馬軍が到着するのでした。

--------

という流れなのですが
まずコンドールの狼煙が
伝わってゆく様子が
映画ならではの映像です。
まるで氷山のように
雲の上に頂上だけ覗いた山の上に
ゴンドールの狼煙を守るためだけに
兵士が配置されており
東方の狼煙を合図に火を灯してゆきます。

もともとこの場面は
原作にはないはずです。
確か、ガンダルフとピピンが
ゴンドールを目指して旅を勧めている途中
すでに狼煙が燃やされているのを目にするのです。
そこを敢えて変えて映像化したのは
とてもいいことだと思います。
映画ならではの表現が
できるチャンスだから。

ゴンドールの狼煙が
次々と点火されてゆく光景を
上空から見下ろし果てしない距離を
駆け抜けてゆく様子は
絶景というよりほかありません。

また、今日観て感動したのは音楽の使い方です。
今までもそうだったのですが
それぞれの国や民族の
テーマ音楽のようなものが
効果的に使われているのです。
二部「2つの塔(TTT)」で初めて使われた
ローハンのテーマは、馬の司と呼ばれる
騎馬民族の国家・ローハンを象徴する音楽です。
なんとなくモンゴルの馬頭琴が思い浮かぶ音色です。
ペレンノール野にローハン軍が到着した時に
その音楽が再び鳴り響くのはかなり感動的です。

ちなみにホビットと旅の仲間の
テーマみたいになっている旋律もあり
ホビットの旋律と旅の仲間の旋律は
しばしば繋がって使われています。

第1部にホビット床が
はじめて画面に登場した時には
素朴に平和な音色を紡ぎます。
苦難の末、エルフの裂け谷に
無事到着したホビットたちの後ろで
再び流れるその音楽は
エルフのイメージを交え
秀麗で落ち着きのある音色になっています。
そして、旅の仲間が結成されると
それは勇壮な音に変わり
旅の仲間のテーマ曲へと繋がってゆきます。
それは、これから始まる
遙かな冒険を象徴するに相応しく
ドラムや吹奏楽が効果的に使われ
意気揚々とした壮大な音色です。
しかし、一部ラストで旅の仲間が離散すると
旋律はまた悲劇的で淋しげな音色に変わって
クライマックスを迎えるのです。

そして第3部。
第1部の冒険を遙かに凌ぐ長い旅路を経て
目を覚ました主人公・フロドの元に
第1部の離散以来ようやく集結した旅の仲間たち。
フロドが目を覚まし、仲間の顔を確認すると
流れてくるのがあの懐かしい旅の仲間の旋律なのです。
一番最後に顔を見せるのはサムです。
サムは、ホビット床を出る時以来
旅の一番はじめから終わりまで
唯一離れずに一緒に過ごしたのですが
サムが現れると同時にその旋律は
ホビット床のテーマ(「イン・ドリーム」の旋律)へと
変わってゆくのがまた感動的です。

ほかにも感動する音楽があります。
ペレンノール野の合戦で
今にも都がくずれ落ちようとする中
望みを失い書かけたピピンは
傍らのガンダルフに向かって問いかけます。
「これでもう終わりなんですね。
 僕らは死んだらどうなるのでしょう」
するとガンダルは微笑みながら答えます。
「死は終わりではないよ。
 我々はまた新しい旅に出るのだ。
 その先には白い砂浜が見える…」
「それは、…悪くない世界ですね」
そんな会話の中、流れるのが
「In To The WEST」の音色
今回の映画の主題歌です。
西方は、中つ国の世界では
エルフの国とされていますが
この映画ではもっと漠然とした
天国のような国と捉えても良いような気がします。
ガンダルフの語る死後の世界はまさに
「In To The WEST」の歌詞に語られる
西方の国そのものだからです。

物語の最後にフロドが
旅立つ時も、やはりこの
「In To The WEST」の旋律が流れます。

イライジャのフロドは
第1部から3部にかけて劇的な変化を遂げます。
第3部のクライマックスで指輪をはめる
フロドの表情は戦慄が走るぐらい怖いです。
その時の眼を鋭く光らせた邪悪な微笑みには
優しげでイノセントな第1部の面影は
どこにもない、別人だからです。
指輪が去り誘惑から完全に逃れたフロド
そして今や王となったアラゴルンに
最高の礼を持って迎えられるフロド
懐かしのホビット床に戻り
親友・サムの結婚式を祝福するフロド
―――――こうして物語はより良い
ハッピーエンドへと向かいますが
世界がどんなに平和になっても
フロドはもとのフロドではないことが
イライジャの表情を見れば分かるのです。
「ぼくはホビット床の平和を守るために戦った。
 そしてホビット床の平和は保たれた。
 でもそれはぼくのためにではないんだよ」
そう言って、フロドは西方へ旅立ちます。
(↑は原作の科白なので映画はちょっと違います)
三部作中最も哀しい別れの場面です。
思いも寄らない展開にメリーもピピンも
サムも涙が止まりません。
そんな友を抱きしめるフロドの顔は
万感を込めてではなく
ただただ静かな表情でいるのが涙を誘います。
すべてを乗り越え、受け入れ、悟り
物語を終わらせようとする者の表情なのです。
こうして舟に乗り込むフロドは
今一度友と中つ国に向けて
最後のまなざしを向けます。

それは、晴れ晴れとした笑顔でした。

まさに第1部冒頭
ホビット村にやってきた
ガンダルフを迎えた時以来の表情です。
外の世界や冒険に憧れを抱いた
生き生きとした少年の目です。
まるでこれからまた
楽しい冒険にでも出かけるような
喜びと希望に満ちた輝きなのです。
それを見たメリー、ヒピン、サムは
理解し、悲しむのをやめて
フロドを笑顔で見送ることが出来るのです。

そう。あのイライジャの笑顔あってこそ
ロード・オブ・ザ・リングの真のハッピーエンドが
語られるのだと思います。絶品です。



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