ビー玉日記
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2004年05月20日(木)  人間の強さと弱さと

「シンドラーのリスト」の原作を読んでいる。
かなり長いのでなかなか読み終わらないけれど、ようやく半分を過ぎたところ。

アメリカ軍の捕虜への虐待行為が問題となっているけど、この本の中の話(つまり第二次大戦中のドイツのユダヤ人迫害)と似ている、というより同じことが起こっていると言っていいと思う。
アメリカは虐待を行った兵士個人の問題のように言っているけど、軍隊という組織の中で、誰かの命令がなければ勝手にあんな行動を起こすとは思えない。

大勢の中で、一人だけ自分のプライドとか信念を守ることって、難しい。
だけど、周りに流された結果、誰かを傷つけることになるのは嫌だ。
嫌だけど、流されなきゃ自分の命が危ない時、私はどんな選択をするだろう。



 あの男たち――人の子として生まれ、故郷へ手紙を書くこともあるはずの男たちには、恥というものがないのだろうか?(それにしても、故郷への手紙にはいったいどんなことを書くのだろう?)オスカーはいままでこれほどひどい光景を見たことがなかった。そうだ、あの連中には恥などないのだ。
(中略)
 しかし、何よりもひどいのは、あの残虐行為が当局の認可を得たものだということだった。もはや誰もドイツ文化の美名の蔭に逃避することはできない。指導者たちは、名もない一般市民が残酷な現実を見なくてもすむように配慮すると、たびたび宣言しているが、もはや誰もそんなものにはごまかされない。オスカーはこのクラクサ通りに、ドイツ国政府の政策表明をはっきりと見て取った。その政策は、けっして一時的に常軌を逸脱したというようなものではない。あの親衛隊員たちは、ドイツ国の指導者ヒトラーの命令を遂行しているのだ。そうにちがいないとオスカーは思った。
(「シンドラーズ・リスト―1200人のユダヤ人を救ったドイツ人」トマス・キニーリー・著、幾野 宏・訳)


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