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 ドラゴンランス伝説〈2〉イスタルの神官王/マーガレット・ワイス&トレーシー・ヒックマン

『ドラゴンランス伝説〈2〉イスタルの神官王』/マーガレット・ワイス (著), トレーシー・ヒックマン (著), 安田 均 (翻訳)
単行本: 348 p ; サイズ(cm): 21 x 15
出版社: アスキー ; ISBN: 4757718969 ; 2 巻 (2004/05/22)
内容(「BOOK」データベースより)
パラダインの僧侶クリサニアは、キャラモン、タッスルと共に仮死状態のまま大変動前のイスタルへ転送され、神官王によってぶじ蘇生する。美しいはずの宗教都市イスタルは、その陰に問題を抱えていた。一方、狼籍者として捕えられたキャラモンとタスは、奴隷市に出されて、体格を見込まれたキャラモンが見世物の剣闘士にされる。王宮にフィスタンダンティラスが出入りしているのを知った彼は、弟レイストリンの運命を変えた大魔法使いを殺そうとするが…。レイストリン、クリサニア、キャラモンは、それぞれの思惑を抱いて〈運命の日〉を迎える。やがて、大音響と共に大地は裂け天から火の山がふり注ぎ始めた…。ファンタジーRPG小説の大ベストセラー『ドラゴンランス戦記』続編。


<新しい登場人物>

神官王
約300年前、アンサロン大陸全土を支配していたイスタル帝国の最高権力者。悪の駆逐を目指す善の僧侶。歴史では“神々の怒りを買い、<大変動>をもたらした張本人”とされるが・・・。

フィスタンダンティラス
永遠に命を保つ技法、神に挑む秘法すら見出した史上最強の黒魔術師。<黒きお方>と呼ばれ、神官王の宮廷にも出入りする。レイストリンは彼に学ぶべくタイムスリップをしたのだが・・・。


『ドラゴンランス伝説』(以降『伝説』とする)の1巻目は、<竜槍(ドラゴンランス)戦争>から2年後の設定だが、2巻目では一気に300年前の過去へとタイムトラベルをする。このタイムトラベルには、僧侶や魔法使いの様々な思惑や陰謀が渦巻いており、一体何が真実なのか読者にも不明。

1巻目の感想に、最初のシリーズ『ドラゴンランス(戦記)』(以降『戦記』とする)よりも宗教的と書いたが、2巻目はさらに、ギリシア神話やローマの剣闘士などの影響が加わる。ほとんど映画「グラディエーター」の世界。このあたり、あまりオリジナリティがないので残念ではある。

しかし、2巻目でもやはり<パラダインの聖女>クリサニアの胡散臭さは消えない。個人的に受け入れられないだけなのかもしれないが、『戦記』に出てくる善悪それぞれの女性キャラを見ても、作者がクリサニアを純粋に「善」のキャラとして描いているとは思えないので、今後どうなっていくのか楽しみなところ。

それにひきかえ、レイストリンはずいぶん人間らしくなってきた。邪悪な魔法使いとなった割には、全く邪悪さを感じない。たしかに兄やクリサニアを利用して、野望を達成しようとしてはいるが、クリサニアに欲望を感じたりするところなど、これまでのレイストリンにはなかった部分。

2巻目では、レイストリンが大魔法使いフィスタンダンティラスと戦って、勝利をおさめたと書かれているが、その詳しい戦いぶりは3巻目のお楽しみ。この大魔法使いは、「暗黒の女王」と手を結んで不死になる術を修め、何百年も生きている、まさに邪悪な大魔法使いなのだが、それをレイストリンが破り、その生命と知識を全て吸収するのだ。

またここには、宗教と政治の両面を治める君主「神官王」というのが登場する(一応善玉)。彼はかの「大変動」を起こしたとされているのだが、果たして真実はどうなのか?「大変動」が起こったいきさつについては、非常に宗教的なので、個人的にはあまり興味がない。「神官王」をはじめとして、ここに登場するパラダインの僧侶たちは、本当に神と対話ができるのか?神の声が聞こえるのか?どうも疑わしい。そういう部分が、宗教的な話の嫌いな所以でもある。

おかしかったのは、奴隷として売られたキャラモンが、剣闘士として鍛えられる間、ダイエットをさせられること。これはどの世界でも一緒のようで、厳しいエクササイズと食事制限。ティカのマフィンが食べたいと言って泣く大男キャラモンが、なんともかわいい。他人事とは思えず、思わず同情。(^^;

2005年04月15日(金)
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