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 恋する熱帯魚/ウェンディ・マーカム

内容(「MARC」データベースより)
夜はキライ、ひとりはキライ、彼だけがすべてなの。でも、マンハッタンの暑い暑い夏が、ひとりぼっちで過ごす夏が、始まろうとしている-。恋に一生懸命なあなたに贈る、ちょっぴりビターな Summer story。


以前に紀伊国屋で立ち読みチェックして、表紙の金魚(熱帯魚というべきなんだろうが、どう見ても金魚)がかわいいなと思っていた、ウェンディ・マーカムの『恋する熱帯魚』をブックオフで買った。

いわば、ここ数年よくある『ブリジット・ジョーンズの日記』(以下BJ)系統の本。現在読書中の本が進まないので、とりあえず全然違う雰囲気のものを、と読み始めてみたところ、「これって、私のこと?」って感じで、笑っちゃう。内容はともかくとして、やだなあ、見てたの?という箇所がいくつもあって、この作者に観察されてたのかな?という気になるほど。

・・・高タンパク質ダイエットに低脂肪ダイエット、そしてキャベツスープ・ダイエットと次々に試したあげく、最も古典的な方法をとることにした。食べる量を控え、摂取カロリーを減らし、運動量を増やす。1日千キロカロリー程度に抑えるようにする。

考えることは皆同じなんだろうけど、このダイエットに対する思考が一緒だよね。1日千キロカロリーとか。他にもお金をかけずにエクササイズするというわけで、ウォーキングをするとか。ちなみに、昨日は2万歩以上歩いた!

・・・『怒りの葡萄』の古本を買う。文学専攻のころ、なぜか読む機会に恵まれなかったけど、読んでおくべきだと後悔していた。ダイエットや貯金やエクササイズと同じで、自分を磨くのに役立つと考えて本を買う。

私が初めて買った古典の洋書(しかも古本!)が、スタインベックの『The Grapes of Wrath』だったのだ。結局挫折して、文学部だった友人(私は文学部ではない)にそれを話したところ、「“怒りの葡萄”なんか買うからよ!」とにべもなく言われた。それ以来、スタインベックは敬遠していたのだけれど、モントレーでスタインベックの銅像に会ってから、ちょっと身近になった気がして、またトライしてみるかな?と思っていた。でも、先日紀伊国屋のバーゲンで、『East of Eden』を見つけたものの、やっぱり手が出なかった。

・・・今年の夏は古典文学を読むと決めたことを思い出す。そこら中に散らばっているペーパーバックを一箇所にまとめて積み上げる。さらに、メアリ・ヒギンズ・クラークやジェームズ・パターソンの本をフトンベッドの下に押し込み、ジョイス・キャロル・オーツの最新作を枕元に置く。純文学に入らないかもしれないけど、今わたしの部屋にある本の中では、いちばんまともな小説であることは確か。

私もクラークは読んでるし、パターソンに至っては、コレクターであると言っても過言ではないくらい。でも、オーツは純文学に入らないのか。。。そう言われてみれば、たしかにゴシック小説家とも言われているし、オーツはなんか違うという感覚があった。

というわけで、なんだか妙に親近感を持ってしまった。「BJ」系統の本といっても、全く「BJ」のようではない主人公なのだけど、この手の本て、主人公を取り巻く登場人物が、だいたい同じ。一番の問題であるボーイフレンドに、ウツクシイ美女のライバル。いつでも慰めてくれる何人かの女友だちとゲイの友だち。使えない上司に、世話好きな親戚。

こういう話はワンパターンではあるんだけれど、主人公が前向きだったら、それなりに結構面白く読める。この主人公も、冴えない太目の女の子なのだが、何でも前向きに考えて、がんばっているところに好感が持てる。

この主人公が私と違うところは、食事もかなりストイックだし、エクササイズもきちんとしている(ウォーキングに加え、エアロビもしているらしい)。前向きな思考に行動が伴っている。なんたって、『怒りの葡萄』を挫折せずにちゃんと読んでるし。(^^;

恋人のウィルと破局を迎える、ちょっと太めで冴えないイタリア系アメリカンの主人公トレイシーなのだが(お母さんも太っているので、将来は自分もああなるかもと心配)、がんばってダイエットもしたし、彼のことを気遣って、自分の気持ちを抑えたりしているのに、俳優志望のウィルは自分のことばかり。ウィルなんて、こっちから捨てちゃえ!と思う。だって、ウィルは

・・・中年になったウィルは、ハリソン・フォードとマイケル・ダグラスを足して二で割ったみたいになってるはず。

って、全然魅力的じゃないじゃないの。<私の好みを言ってどうする!
それに、新しく知り合ったバークリーのほうが、見た目は普通だけど、絶対性格いいし、そっちにすればいいのに!なんて、やきもきしたりする。でも、見た目というのも結構捨てられないファクターではあるんだよね。だって、どんなに性格がよくても、「ハリソン・フォードとマイケル・ダグラスを足して二で割った」ような人だったら、私は惹かれないもの。(^^;

最後にウィルと喧嘩別れした翌日、一人で街を歩きまわる。私にはやることがあるのよ!と。思わず、がんばれー!と応援したくなる。でも、必死で強気を保とうとしているトレイシーが健気でいじらしくて、ついホロリ。

「わたし、大丈夫?」

と、時々泣きそうになって、自分で自分に尋ねながら街を歩き、これまでの自分にさよならしようとする。だからね、男のために痩せたって、みじめなだけなのよ。つまり、太ったとか痩せたとかいう外見だけで相手を判断するような男は、ろくでもないってこと。痩せるのは、自分のために痩せるんでなきゃ!なーんて、読みながら息巻いてみたり。

・・・新しいわたしを観察する。悪くない。約9キロ減ったら、こんなに違うなんて不思議。でも、2キロちょっとの小麦の袋を腰とお尻と腿とおなかにぶら下げてたのに、そのわりには変わっていないことがショック。

でしょ?私も最高マイナス8キロまで落ちたけど、そのわりには変わってないんだよね。でも、人から見ると、変わって見えるらしいから安心して!

酔っ払ってついつい電話してしまう気持ちとか、優しさのかけらもないナルシストの自己中男に振り回される気持ちとか、ものすごくショックを受けてるのに気丈にふるまおうとする気持ちとか、心臓が本当に痛くなるほど辛い気持ちとか、そういうことに、心の中で頷いていたりしているうちに、トレイシーは私の分身みたいな気がしてきた。ウィルと別れてよかったのよ。おめでとう!トレイシー!

さて、このトレイシー、昨日も書いたが、本に関することでも好みが似ている。

・・・ここ二週間ほど読んでいて意外におもしろかったヘンリー・フィールディングの『トム・ジョーンズの華麗な冒険』を読み終わる。そのほかに持ってきた唯一の本、『白鯨』を読み出す。ニューヨークでこの本を買ったとき、これを読破できたら頭を休めるためにダニエル・スティールの新刊を読んでもいい、と自分と約束した。

私も『トム・ジョーンズの華麗な冒険』『白鯨』を持っている。ダニエル・スティールは昨日買った。ただ私の場合、200人以上もの人物が登場する『トム・ジョーンズの華麗な冒険』も、メルヴィルの『白鯨』も読まずに、先にダニエル・スティールにいくだろうな。(^^;

・・・角で衝動的に『ガリバー旅行記』を取り出す。わきにあったあふれそうなごみ箱に放り込む。信号が変わって通りを渡るとき、結末を知ることは永遠にないだろうな、と少し物思いに沈む。

あーあ、『ガリバー旅行記』はちゃんと読まなきゃダメでしょう!

2004年03月14日(日)
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