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 優雅な生活が最高の復讐である/カルヴィン・トムキンズ

優雅な生活が最高の復讐である
ISBN:4845701227
カルヴィン・トムキンズ(著);青山南(翻訳)
リブロポ−ト 1984/05出版

◇カルヴィン・トムキンズ=「ニューヨーカー」美術記者、伝記作者。


中身がピンクと黄色のザラ紙でできている、ちょっと変わった装丁の本だが、どんな内容か全くわからないまま、とりあえず青山先生の翻訳なので読んでみた。

内容はジェラルド・マーフィとセーラ・マーフィに関するノンフィクションなのだが、この夫婦は何者?と最後まで疑問がつきまとった。最後のほうにジェラルド・マーフィの描いた絵画の写真があるので、画家なのかとも思うが(「キュナード汽船の甲板」という絵に見覚えがある)、それだけにはとどまらない人物のようだ。

ところが、この本の主役はF・スコット・フィッツジェラルドのような気もする。というのは、フィッツジェラルドがマーフィ夫妻をモデルにした小説『夜はやさし』を書いたからだ。この本にはフィッツジェラルドのほか、ヘミングウェイやピカソ、ドス・パソスなど有名人がたくさん出てくるのだが、どれも脇役にすぎず、フィッツジェラルドが一番目立っている。スコットの妻ゼルダが一番強烈に印象に残ると感じる人も多いようだが、私はゼルダについてはほとんど無知なので、やはり多少でも知っているスコットのほうが印象に残った。

しかし、このフィッツジェラルドの『夜はやさし』は残念ながら不評だったようで、その後のマーフィー夫妻との付き合いにも影響を及ぼすわけだが、それでもマーフィー夫妻は、スコット・フィッツジェラルド&ゼルダ夫婦を愛していた。

というようなわけで、マーフィ夫妻とフィッツジェラルド夫妻との付き合いを通して描かれた、当時の芸術界、文学界の状況といったところだろうか。ふと、ジョージ・プリンプトンのオーラル・バイオグラフィ『トルーマン・カポーティ』を思い出した。

さて、タイトルにある「復讐」とは、誰が誰に対してのものだったのだろうか?

2004年01月27日(火)
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