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 ヒャクニチソウの満開の下/ミシェール・リー・ウエスト

「南部テネシーを舞台に、過酷な運命をしたたかに生きる3世代の女たちを軽妙なタッチで描いた長編小説」
1932年のある夜、ミス・ガシーは幼い娘ドロシーを守るため、侵入した男を銃で撃ち、まだ息のあるその体をヒャクニチソウの下に埋めた・・・。
命をかけて守った我が子は、しかし、頑固で優しさのかけらもないような娘に育っていく。頭を悩ませるミス・ガシー。一方、母親の愛への飢餓感を持つドロシーは、ミス・ガシーの気を引くために奇妙な言動を繰り返し、次第に周りから孤立していく。目に見えない狂気は、ドロシーだけではなく妹クランシー・ジェーンにも忍び寄り、ミス・ガシーを取り巻く女たちは、次々と数奇な運命をたどることになる。(カバーより)

母、娘、孫娘と3世代にわたる女たちがそれぞれの目から見た生活を語るという形式で、それぞれがどのようにして、どのように関わりあって年月を重ねていったのか、克明にわかるようになっている。その3世代の家族全員を知っている黒人メイドのクウィーニーの語りも加わり、さらに多様さを増している。

殺人、自殺未遂、レイプ、乳幼児突然死、人種差別・・・とエピソードには事欠かない。登場人物それぞれに強烈な個性があり、どの語りにも引き寄せられるが、悲惨という意味では、ミス・ガシーの娘ドロシーが最も悲惨で悲劇的な一生を送るのではないだろうか。

母の愛を求めながらも、結婚して、夫や子どもにそれに代わるものを求めようとするドロシーだが、愛情の勘違いはどんどん大きくなり、ついには取り返しのつかない事態にまで陥る。

「あの太った醜い女は誰?」と母親に言われるとは、なんて不幸なのだろう。ミス・ガシーに愛情がないわけではないのだが、母親だけは子どもを無条件に愛してくれるものと思っていたのに、なんという打撃!ドロシーはけして好ましい人物ではないが、同情を禁じえない。



2002年10月03日(木)
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