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 プリンセス・ダイアリー/メグ・キャボット

「主人公はミア・サモパリス。身長175センチ以上、胸はぺったんこ、数学まるっきり苦手の女子高生。いたってフツーの、あまりもてそうにない女の子。そのくせ男の好みはかなりうるさい。彼女が「正真正銘のイケメン」と保証するのが、「身長183センチ。ブロンドが、澄んだブルーの目にかかってると最高。甘くてアンニュイなほほ笑み」のジョッシュ。彼女に言わせれば、ジョッシュの唯一の欠点は「ラナ・ヴァインバーガーなんかとつきあう趣味の悪さ」。つまりミアは片思い。

そこに一大事件発生。なんと、ママが数学のジャニーニ先生と初デート!(ちなみに、ママは未婚の母だけど、生活費も養育費も教育費も、ちゃんとパパから送られてきている)

そしてまた一大事件発生。なんと、パパがやってきて、「おまえは、アメリア・ミニョネット・グリマールディ・サモパリス・レナルド。ジェノヴィアのプリンセスだ」と問題発言。「ジェノヴィア」というのはヨーロッパの小国(という設定になっている)。パパは癌の手術や化学治療のせいで、子どもができなくなってしまい、ミアが唯一の跡継ぎになってしまったのだ。」─訳者あとがきより

図書館の英米文学コーナーで、一番汚れていないのがこれだったので借りただけで、まるで期待していなかった本なのだが、予想外に面白かった。あらすじはあとがきから抜粋したとおりで、これで十分だと思うが、やっぱりこれも「ブリジット・ジョーンズの日記」みたいなんでしょ?と思う人も多いだろう。期待にたがわずそのとおり。でも、年齢設定が違うと、周囲の状況も違うし主人公の視点も違ってくるので、「ブリジット」のようではあるけれども、全然違う雰囲気。

この本で一番いいのは、主人公ミアはフツーの女子高生なのだが、とてもいい子だってこと。「ムカツク」ことは多々あれども、いつも「ママを悲しませたくない」、「心配させたくない」という心遣いを見せる。友達のこともよく考えているし、何より「体に悪いことはしない」主義なのだ。つまりよくある青春小説のように、酒・ドラッグ・セックス・暴力なんかに溺れる若者とは全く違うということ。

だから、単純に「私はプリンセスなのよ!」と思ったりせず、自分は自分でいたいと悩むわけで、そんな部分がミアの魅力になっている。終わり方が、まだまだ先があるという感じの終わり方で(もちろん先があるのだが)、すぐに次が読みたくなるくらい楽しい話。いきなりプリンセスだなんてあり得ない!などと思ってはいけない。何も考えずに楽しめばいい本なのだ。

「ブリジット」以来「なんとかダイアリー」という日記形式の小説が多いが、その中の面白い作品に関して共通していることと言えば、それを書いた作家の観察眼が鋭いことだろう。もちろん小説として出すからには、しっかりしたストーリー展開も重要だと思うが、なににも増して、観察眼の鋭さが第一の条件ではないかと思う。この作品も例外ではない。


2002年07月20日(土)
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