へそおもい

2022年02月15日(火) かなしい怪物

この日記の場所が
生きていることがうれしい。
何年ぶりかしら。
ここはブログやSNSのように
コメントがつかないので
純粋に自分のために言葉を紡げる。

近況を。

奄美大島での暮らしは
とても心地がいい。

芯は石のように頑固だけど
表面はやわらかい
ユニークな夫と
若い天真爛漫で甘えっ子の美猫と
小さな集落の
山の麓の一軒家に住んでいる。

ご近所さんにも恵まれ、
この地で採れた野菜やお魚を
いただくことも多く
わたしはよくお菓子を作ってお返ししている。
母伝授のにんじんケーキが人気だ。

ご近所のおじいちゃん監督のもと
自分たちでつくった五右衛門風呂は
とても気持ちいいが
薪集めという仕事に追われる。
薪集めのために山に入るのは好きなので
そんな生活もなかなか楽しくはあるのだが。

仕事は心理職。
スクールカウンセラーとして
10数校を担当しており、
忙しい時期と余裕のある時期の差が激しい。
収入はギリギリ。
今はいいが
これからを考えるとあかんやろ
と思う。

仕事の内容もさまざまで
学校のニーズに合わせて
カウンセリングでも
グループワークでも
職員研修でも
なんでもかんでもやるので
自分は融通が効く方の
心理士なのではないかと思っている。

音楽はほとんどやっていない。
正直淋しい。
曲の種はあっても
それを育てて
曲にする気力が湧いてこない。
でもがんばって少しずつ曲をつくる。

やはり、
作った曲を好いてくれて
アレンジしてくれる仲間
当たり前のようにライブができる場所
聴いてくれるお客さんがいる
そんなつながりのあるシステムの中だから
あんなに曲をつくって活動できたのではないかなあ。

そんなつながりを
また1からここでつくり直すための
物理的な時間と
エネルギーが足りない。

あの頃は
家族もバンドメンバーで
音楽が暮らしの中心だったから
できたんだね。
いつも頭の中が音楽と創ることで
いっぱいなしあわせな時代だった。

週に一回は地域の仲間と一緒に
草ラボという活動をしている。
島の植物を暮らしに生かすというコンセプトで
毎週木曜に廃校になった学校の音楽室に集い
草を編んだり食べたり蒸留したり
いろいろやっている。
カラフルな仲間たち。

あとは、
カニが好きで
これからカニを中心にして
仕事をしていこうと
考えている。

どうだ
楽しそうだろう。

それなのに
それなのにだ。

そんな暮らしの背景に
いつもBGMのように流れている
このくらく重たい空気はなんなのだろう。

奄美に来て2年目くらいから
感じはじめたこの感触。

人生の短さへの不安
大切な人や自分の命が
いつ何時消えるかもしれない
死への恐れ。

いや
そうなのか?
言葉にすると
あまりピンと来ない。
このうっすらと流れ続ける
淋しさ。

生まれてきて
ずっと淋しいぼくたちは
淋しいのを紛らわすのが
普通ということに
なったのだろうか。

無視したら
それなりに楽しく進む暮らしだが
わたしは無視できないのかしら。

この不安か恐れか淋しさか
そのすべてが混ざった塊か。

それを解き明かしたい。

そもそもそれは
わたしのものなのか。
影響を受けているのか。
そこすらもわからない。

ただただ
背景に流れる
その暗い空気に
胸が締め付けられ
手が震え
涙がでる。

かなしい怪物が
のりうつってきているよう。

どうか成仏してください。
それまで
あなたのことを
しっかりとみていこうと思う。

あなたのことを
書いて描いて
うたって
踊ろうと思う。

苦手かもしれないけど
わたしにもわかるように
あなたの苦しみを
教えてほしい。

愛しています。


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はたさとみ [MAIL]

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