集落では、 95歳のHちゃんが 亡くなられたという。
施設暮らしが長かったので 直接は会ったことがないけれど いつもお世話になっている お向かいの80代ご夫婦の 姉弟だったものだから いろんな話をきいていた。
みんなの話から Hちゃんのかわいいおうちから続く うちの前の道を 買い物車をひきながらあるく 小柄で目が大きいおばあちゃんを 想像していた。
お向かいのOっこばあを尋ねると 珍しく横になっていた。
仏壇の写真のHちゃんは 想像よりすこし面長だった。
真夜中に呼ばれて ちゃんと死に目に会えてよかったことなど お茶とミルクキャラメルを 振舞われながら ここ1週あいだの話を聞いた。
最後は いきがぷうっとなって カラダがだんだん冷たくなっていったと ふしぎそうに話していた。
本土からきていた美人の娘さんが こんな暑いところに移住して さとみちゃんすごいなあーと 言う。
たしかに やたら暑い。
昨日まで 大阪にいたせいなのか 身体にこたえる。
都会の暑さは 逃げ場のないコンクリの暑さだが 島は湿気たっぷりもわっとした暑さだ。
もわっとした街には 七夕飾りが ながれるように揺れていて 異国に来た気持ちになる。
こちらの七夕飾りは 短冊ではなく 長いカラフルな色テープなど 風が吹くと流れが出るものが多く 本土の飾りと趣が違うのだ。
Oっこばあの家は 毎年丁寧に七夕飾りをしているが 今年は流石に飾りがない。
集落のみんなに愛されていた Hちゃんのお葬式は あたたかで素朴ないい式だったよ とお世話になってるねえさんから聞いた。
90を超えたら そんだけ生きたっていうお祝いだから 悲しまないっていう考え方が島にはあるのよ という。
集落のみなの あたたかなつながりを みんなのことばから ふわっと感じて
Hちゃんは それを眺めながら しあわせな人生だったって おもえているかもしれないなあと 想像した。
死んだらどこへゆくのかな。 どんな感覚なのかな。
どこかで みんな わかっているようで だけど わからなくて
ふしぎなことは いっぱいあるな。
いつか 絶対に経験することだから それまでを 楽しく旅しようと おもった。
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