空色の明日
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2001年05月21日(月) 美しきジジイ

私には物心ついたころから祖父がいなかった。
だからおじいちゃんという存在が全くわからない。

まあ、一番近いおじいちゃんは今「じいじ」と姪たちに呼ばれてる
父かもしれない。

今日は「ストレイト ストーリー」をみました。
はっきりいって「ツインピークス」もみてない私はデビッド・リンチの
作品だからとかそういうことは全然関係ありません(笑)

73歳の頑固ジジイがトラクターで遠い兄弟を訪ねていくという
話なんですが、これがジジイの魅力満載。

ババアの魅力が「ナビィの恋」なら、ジジイは絶対これ!!
ヨボヨボなんだけど、歳を重ねただけ言葉とか仕草が洗練されてて
実は全然無駄がないのだ。
思いやりとか気遣いとかそういうのが気取らず自然に表現されてて
とてもリアルなのです。

私は子供の時、父親が財布からお金を出す姿を見るとなんとなく
切ない気持ちになっていました。
毎日お買い物についていってたので母が財布を持つ姿は
見慣れてるのに、父は猫背でなんかその姿がわびしくかんじていやだった。
それを言うと「せっかくご馳走してるのになんでそんなこというんだ」と
父は困った顔で笑ってましたが。

男って言うのは現実味のない生き物だとはわかってましたが、
それは見た目にもそうなのかもしれません。
だから男にお金はなんとなく似合わなくて父のそんな姿がいやだったのかも。

この映画はジジイの中の男の美学・優しさ・意地そういったものが
凝縮されてる。
そしてジジイが父親の顔になったり、弟の顔になったり、
友の顔になったりといろんな表情を見せてくれる。
それは73年生きたから持っているたくさんの顔であり、
思い出なのかも。

見ていて「ああ、歳を重ねるってこういうことなんだ」と思います。
この映画に出てくるジジイはハリウッドのかっこいいジジイとは違う
そのへんにいそうな普通のジジイ。
だけどだからこそその仕草一つ一つにこめられた気持ちが
手に取るように伝わってくる。

私は見ている間中なんども自分の父の姿がそのジジイに重なった。
たぶん多かれ少なかれ見た人は自分の祖父や父に重なるところがあるはず。
だって、そこにいるのはごく普通のジジイ。
頑固できままで恥ずかしがり屋でちょっとカッコつけ屋(笑)

ジジイの旅を追いかけていると父と一緒に出かけた気持ちを思い出す。
雨の匂いや風の温度、静寂の圧迫感。
ジジイと旅をして思い出してください。


安藤みかげ