紫
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今年の3月。
18切符を使って兵庫県の北にある「余部(あまるべ)鉄橋」を見に行く旅を企画していました。
3月いっぱいで取り壊されることが決まっていた鉄橋。
一度、見たかったのです。
浜坂で泊まって、翌日は唯一未踏の地「島根」まで。
2泊3日の小さなひとり旅。
しかも電車の旅は久々だったので、計画の途中からわくわくしていました。
が。
突然の父の死で、その計画は実行できず。
予定していた休暇の3日間は、役所などの手続きで忙しく、旅のことも忘れていました。
その後、新聞で「さよなら、余部鉄橋」という記事を読み、「あぁ、ホントだったら、私もこんな写真を撮っているはずなんだけどなぁ……」と何がホントでどれがウソかよくわからなくなる気持ちに駆られ、余部鉄橋については、あえて避けるようになりました。
そして、あれから約9カ月。
バスの隣に座っていた母が「あれ! ほら!あれあれ! 余部鉄橋や!」と叫びました。
住宅の上を通る大きな大きな鉄橋。
補修工事中らしく、トレードマークの赤はあまり見えませんでしたが、確かに余部鉄橋です。
ちょっとドキドキしましたが、隣で喜ぶ母の姿にこれまで避けてきた余部鉄橋を素直に見ることができました。
「すごいなぁ」
そうつぶやく私の隣で母がきょう覚えたばかりのケータイのカメラで写真を撮っていました。
「カシャッ」
母の撮るケータイカメラの音をきっかけに、決めました。
『悲しみ』へのこだわりは、来年はできるかぎり、捨てよう。
いえ、捨てるというと語弊(ごへい)があります。
「思い出の宝箱」に入れるのです。
おだやかに、おだやかに。
おやすみ。
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