紫
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選挙に行く途中、母がふと、立ち止まりました。
「この木に、いるよ」
どうやら、蝉を見つけたようです。
とはいえ、私の目には、どこをどう見たって、蝉の姿は見えません。
鳴き声なんて、とんと聞こえません。
「どこにいるの?」
母に問いました。
「こっち。ここ、ここ。ほら、あそこ」
プラタナスの木を、ぐるりと反対側にまわって見上げるくらいの距離に、ひとつ、蝉が止まっていました。
あぁ、なぜ木の反対側に止まっている蝉が、母には見えたのでしょう。
今に始まった疑問ではありません。
でも、それは疑問ではありません。
母は、自然と対話ができる。
子どものころ、ふとそれに気づきました。
だから、母が育てる木や花は、どんどん大きく元気に育っていくんだって。
だから、母が通る道には、花がたくさん咲き誇るんだって。
残念ながら、私にはその血は伝わっていません。
ただ、花や植物が好きなことだけは、母譲り。
でも、今は休止中。
そんなことを考えていたきょう。
ベランダに蝉が舞いこんできました。
なんだか、今年はいろんなことをスタートさせたい気分になりました。
仕事も私生活も、勉強も山登りも。
そして……。
深夜に舞いこんできた蝉に。
ありがとう。
おやすみ。
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