紫
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車に積んであった荷物をおろしました。
父が大事にしていた大工道具です。
私には宝の持ち腐れですが、売るほどのものでもなく、誰かにあげる気にもなりませんが、ひとまず片付けました。
父が乗っていたのは、ほんの半年ほどだったけれど、木屑の匂いがしています。
私が幼いころから知る父の匂いです。
車の中から、ビールやお酒の缶がぽろぽろと出てきました。
母に内緒で車の中でこっそりお酒を飲んでいたのでしょう。
なんだかおかしくなりました。
午後からガソリンスタンドで洗車。
1575円のコースで、外も中もキレイにしてもらいます。
父はよく私の車にもワックスをかけてくれていました。
「おい、キー、貸せ」と言って車を出し、「キレイになったぞ」と誇らしげに帰ってきました。
たった半年あまりだったけれど、父が乗っていた車です。
そしてその前の7年間、私が乗っていました。
この車でホントにいろんなことがあったなぁ、と思い出にひたりながら、ガソリンスタンドのお兄さんたちが、4人がかりで私の車を掃除してくれる姿を見つめながら、きょうが快晴でよかった、と思いました。
車を買ってくれた知人を駅まで迎えに行き、そこでキーを渡しました。
ひととおりの車の説明をして、お金を受け取りました。
そのとき、ほんのちょっとだけ、動揺していたような気がします。
その夜。
車が、走り去っていく姿を見届けたかったけれど、残念ながらできませんでした。
でも、どうせまた「会える」し。
「ごめんね。ありがとね」
ただ、気持ちだけをベッドのなかでうすれゆく意識のなか、父と私の愛車に送り続けました。
さよなら。
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