紫
|MAIL
目次|過去の日記|未来の日記
「しんどい?」
そう聞くと、父は確かに首を横にふりました。
母と私はその言葉に、安堵を覚えました。
「がんばってよ」
と言うと、父は小さく、それでも確実にうなづいていました。
がんばる意思があることに、私たちは期待しました。
きょう、ふと、そのときのことが思い出されました。
一生懸命、ホントに一生懸命に呼吸をしている父。
しんどくないはず、ありません。
あれは……。
「しんどくないよ」と首を横に振ったのは、父の最期の「やさしさ」だったのかもしれません。
そして、そのとき、父は自分の「最期」を悟っていたのでしょう。
そして……。
側にいる医療者は、もっと早くに父の死を感じていたのだと思います。
医療者の端くれである私も、あの独特の呼吸に「死」を意識しなかったわけではありません。
「家族」だから、気づかないふりを、いえ、治るほうに期待をしたのでしょう。
私は、この気持ちを忘れないようにしていかなければいけません。
父のために。
これからの、ために。
おやすみ。
目次|過去の日記|未来の日記