紫
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あちこちに散らばっている「思い出」を集めている家族がいます。
「彼」が見た景色を、出会った人たちを、感じた風を、香りを……。
もちろん、みんな惜しみなく「思い出」を出し合います。
「彼」について知っていることをすべて彼らに伝えようとしています。
「思い出」をすべて集めると何かが起こるかもしれない。
いや、起こればいいのに……。
数年前に、そんなことを考えた自分を思い出しました。
……………。
あす、イタリアへ出発する彼らに何かしたいと思い、みんなのメッセージを集めることにしました。
私は、みんなの連絡先をほとんど知らないので、交友関係の広い友にメッセージを集めてもらえるよう頼みました。
忙しいのに快く引き受けてくれて、ありがとう。
集めたメッセージをカードに切り貼りしたり印刷したりして、きょう、彼らに渡しました。
みんなの熱い熱い気持ちのこもったメッセージ。
もちろん、メッセージを贈りたくても言葉にできなかった人たちの気持ちも、ふんだんに含まれています。
「飛行機の中で読むね」
みんなの気持ちの詰まった「紙」は、そう言って封筒の中に戻されました。
いま、読んだほうがいいのにな……。
そんなことを思いました。
飛行機の中で読んだら、きっと涙がとめどなく流れて仕方がないでしょう。
だって、私でさえメッセージにこめられた気持ちとメッセージを贈りたくても贈れなかった人たちの気持ちに、涙を流さざるをえなかったのですから。
おやすみ。
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