紫
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「あ……」
ドアを開けると、あの匂いがしました。
ひんやりと冷たい空気。
アイスアリーナのあの匂い。
ジャッ、シャーッ
ジャンプの後、独特のエッジと氷のこすれる音を聴いて「ここだ」と思いました。
これまで何度もスケート場に足を運んだけれど、滑らずに帰ってきました。
理由はひとつ。
「以前のように滑ることはできないだろうから」
久々に足を通したスケート靴は、心なしか喜んでいるように見えました。
久々に踏んだリンクは、最初は私を突っぱねたけれど、だんだんと思い出してくれたかのように、私を受け入れてくれました。
シャーッ、シャーッ。
まだまだジャンプをする気にはなれないけれど、スピンの練習は少しだけ、できるようになりました。
うん、もう少し。
やっぱり、右足は少し弱いみたいだけど、それでもじゅうぶんに前にもうしろにも滑ることはできます。
「楽しく滑ることがいちばんや」
きょう、スケート場で知り合ったおじさんの口癖。
そう、楽しく滑ろう。
たった2時間だけのスケートリンクだったけれど、私には「何か」を克服したような1日でした。
さ、これからはほんの少し弱い右足を「言い訳」にすることはもうやめよう。
私は、なんでも、できるんだから。
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