紫
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もう十年前になるでしょうか。
友の結婚を、大反対したことがあります。
反対した理由は、いろいろありますが、たいしたことではありません。
いえ、私にとっては「たいしたこと」だったのかもしれません。
そのとき、友は言いました。
「たいせつな親友に反対されたことはとてもショックだけど、式には絶対に来てほしい。
その『厳しい目』で私と彼がどんな『夫婦』になるか、親友としてずっと見ていてほしい」
両親といっしょに暮らすのは最後だから…と、東京のマンションを引き払って彼女は京都の実家に戻り、仕事に迷惑をかけないように、と1年間、結婚を延期しました。
彼女らしいな、と思いました。
その「遠距離恋愛」の1年のあいだに、私は何度か彼に会いに行きました。
バイクショップで働く彼に、バイクを修理してもらうことを名目に、彼をもっとよく知ろうと思いました。
私が結婚を反対していることを知っている彼は、私の訪問をいやがっているんだろうな、と思っていました。
ホントは、式にも来てほしくないんだろうな、と。
結婚式の招待状が届いたころ、私はまたそのバイクショップに行きました。
とりとめのない話をして、帰ろうとしたとき、彼が言いました。
「式、必ず来てくださいね。あいつの親友は、僕にとってもたいせつな人ですから」
泣き出したくなるのを我慢して、せいいっぱいの笑顔をつくって店を出たことを、覚えています。
そして、1年後の結婚式。
瞳いっぱいに涙を浮かべて「ありがとう」を繰り返す友に、あふれるばかりのお祝いの言葉を贈っていました。
なんとなく、そんな昔のことを思い出しながら。
おやすみ。
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