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2004年01月30日(金) 湯たんぽ

二十歳のとき、初めて1人で北海道を旅しました。
2月の雪のいちばん多い季節。
道路に、ヒーターが入って雪をとかしているということも、夜もストーブを消さずに寝るということも、家の前に、高床式の灯油タンクがあることも、玄関を開けるとまた玄関があるということも、すべてが新鮮でした。

友のすすめで、小樽の小さな宿に泊まりました。
一人旅で、初めて泊まる宿でした。
宿の玄関が雪ですっぽりと隠れていたり、すきま風が入らないように、窓にビニールがかぶせてあったり。
宿主が急に歌いだしたり、その宿から毎日仕事に通う人がいたり。
「宿」とか「人」に対する私の常識が、崩れるほど新鮮でした。

いちばん驚いたのが、湯たんぽ。
夜、お風呂から上がったころに手渡されます。

「布団のなかに入れて、布団をあたためてください」

その言葉のとおりに、布団のなかに入れておきました。
ちょうど寝るころには、布団はぽかぽか。
湯たんぽを使うのは、初めてではなかったけれど、こんなに布団をあたためてくれることに、驚きました。
朝になっても、まだ湯たんぽはぽかぽか。

「朝は、水が出ないので、その湯たんぽのお湯で、顔を洗ってください」

湯たんぽのお湯を、大事に洗面器にこぼすと、ほんのり湯気がたちました。

「あたたかい…」

顔を洗うのにちょうどいいくらいの温度。
寒い国の人は、いろんな知恵をしぼって暮らしているんだなぁ、と感心したのを覚えています。


今日、部屋に入ると、ひんやりと冷たい空気が、頬をかすめました。
妙に湯たんぽが懐かしくなったけれど、ここには湯たんぽは必要ありません。
湯たんぽのお湯で、顔を洗うこともありません。

そういえば、冬の北海道。
しばらく行っていません。


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