紫
|MAIL
目次|過去の日記|未来の日記
見栄っ張りの父は、私が最初に就職した会社の名前を、親戚に言えませんでした。
マイナーな食品メーカーだけど、ある食品にかけては「最大手」だったのに。
私も、よく人に笑われました。
「なんでまた」
と言う人もたくさんいました。
私が答えるセリフは決まっています。
「社員の顔をすべて知っている会社に入りたかったから」
もちろん、これだけがすべてではありません。
でも、会社に入ってしばらくしたときに、この会社に入ってよかった、と思いました。
大きすぎる大学の、卒業も危ういぽつり、とした存在だった私が、その会社では、スパルタにそれでも見捨てられることなく育てられ、いつも誰かに見守られ、突き放されても、どこかで安心感をもてるような、そんな、会社。
辞めて十年近く経ちますが、今も、私はその会社に、その支店にいたこと、「彼ら」に育てられたことを、誇りに思っています。
今もまだ、私のことを呼び捨てにする先輩たち。
いつまでたっても「仲間」扱いしてくれる彼らの存在もまた、「小さなシアワセ」のひとつです。
目次|過去の日記|未来の日記