ノート

2001年10月29日(月) Play Back-8/19 夜の甲子園-

もう、あの時から2ヶ月以上経った。
今でも、私の記憶にはあの時の光景が浮かび上がる。

8月19日、甲子園。
準々決勝第4試合、松山商vs平安
夕陽が射す、涼しい中での試合開始だった。
前の試合は何かと話題になった寺原扮する日南学園と
名門・横浜高校の対決で沸いていた。
ほとんどの観客が席を立ち、帰宅の準備を始め、帰っていった。
私も朝からいるので、途中で帰ろうと思っていた。
だが、この試合は私を帰そうとはしなかった。

マウンドには2年生エースがのぼる。
阿部と高塚だ。どちらも粘りの投球をし,互角の戦いとなっていく。
毎回ランナーを出すも、後続がつづかない。
テレビ越しで見ていた人は、なんてイライラさせる試合なんだと
思ったはずだ。
それは、甲子園にいなかったからそう思ったこと。
私の周囲に、席を立つ人はいない。
みんな試合をじっくりと見つめ、もちろんヤジなんか飛ばさない。

野球もドラマだ。ドラマには音響というものが使われる。
セリフのうしろで、音が流れると
その場面で一層、心を打たれたりするものだ。
結果として、その場面やドラマの価値を上げることになる。
まさに、この試合は一球一球がセリフで、音が応援だった。
平安の応援は他校とは違い、独創的な音楽で応援をする。
その応援が、試合を一層、素晴らしいものにしているのだと感じたのは
恐らく私だけではないはずだ。
きっとこの応援が無ければ、試合に飽き飽きして、帰る人が多かったと思う。

試合終了、全員ではないがスタンドは、立ちあがって拍手を送っていた。

翌日、数時間前まで平安のアルプスだった3塁側へ入った。
まだ、あの感触が残っている。
そして、今でも夜の甲子園と言われて、連想するのは
この松山商vs平安の試合だ。


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