Kin-SMA放言
もくじ昨日のこと明日のこと


2003年02月11日(火) 10時間耐久レース

新橋演舞場ヒルヨルより帰還いたし候。

午前11時から午後9時までいましたで候(言葉遣いが、変だぞ)

くたぶれた(名古屋弁)で候。

だったら、とっとと寝ろ>オレ

でも、書かないとコーフン状態で(エッチ♪←アホかお前は)眠れなさそう。




↑投票ボタンをここにおく姑息なぼく

とりあえずガンジー(鴈治郎)は化け物である

ってことだけは書いておこう。

今月は「曾根崎心中」お初一役。今年はお初を演じて50周年だそうだ(な、なんですとーーーっ?!)

70歳を越したじいさん(この人にこの単語は全く当てはまらない)が、なぜ? なぜ?! なぜこんなに可憐に19歳の少女を演れちゃうのか?!

なるほど、これだけの若さ(肉体的にも精神的にも)がなきゃ20歳の芸妓とホ○ルで(以下略)

一方、智さん(とつい呼んでしまうが「翫雀」になってしばらくたつよね)の徳兵衛には、今日はあんまりパッションが感じられなかった。

「足で問えば〜♪」

のところね。前に観たときは、思いっきりぎゅ〜っとノドをくっつけてたんだけど、今日は、既に魂が抜けているっていうこころだったのか? 上の空な感じでスリスリしていた。

お父さん(ガンジー)が常に車輪(熱演すること)なお方なだけに、少し疑問符。

「そのはず、そのはず〜っっ!」(官能的〜♪)

のセリフが言いにくそうだと感じたのは、こっちの思い入れのせいか?

坂東吉弥丈は相変わらずたよりになるお方。九平次はもうこの方しか考えられない(「陣屋」の弥陀六は、ぼくは初めて拝見)。

久右衛門は竹三郎さんだったんだけど、ぼくは今まで我當さんでしか観たことがない。女方もお演りになる方なので、最初はちょっと違和感があったが、以下のシーンでやはりボロボロ泣いてしまった。

このおじさんが、甥であり奉公人でもある徳兵衛をいかに心配しているか、お初に恨みを述べるシーン、また、徳兵衛をだました九平次に怒りを爆発させるシーン、そして、

「徳兵衛、死ぬなよーーー!!!」

の叫びには、いつもやりきれない思いでいっぱいになる。

だって、徳兵衛は死んでしまうことが分かっているから。

こんだけ心配してくれる人がいるのに、どうして死ぬんだ?! 徳兵衛(とお初)

・・・この芝居の主題とずれた感想になっているのは認める。

でも、ぼくは自殺する人って、ほんと哀しいと思うんだよなぁ。

自殺された方の身になれ、なんて、自殺する本人には通じない説教なんだろうなとは分かっているんだけれども。

多分(憶測に過ぎないが)、自殺をやり遂げてしまう人ってのは、その「残される人」への憎しみ(憎んでなくても、愛は消え失せているだろう)が、自分の命を惜しいと思う気持ちよりも大きくなってしまうんだろう。

ぼくも昔、親と言い争ったりしたときに、「死んだろか」と思ったことがないわけではない。

でも、自分の命の方が惜しかったから、あっさりやめた。

ぼくの場合に限って言えば、その「死んだろか」って気持ちは、「死んでお前らを後悔させてやる」という愚かな一瞬の激情だったので、頭を冷やしたら治まったのだけど(自分大好き人間で良かったよ、ほんと)

・・・これ、『人間・失格』を観たときにも、ずーっと考えていたことなんで、その話をいつかするときに、また詳しく書こうと思う。
(ぼく、留加のこと大っきらいだったなぁ(笑)。だって“光一くん”とは見てなかったもん。誠のことも“剛くん”とは思ってなかったし。ふつーにはまって観ている、素直な視聴者でした)

あちゃー、話がどんどんずれまくってしまった(眠い証拠)

以下、スピードアップ。

〈熊谷陣屋〉
赤ッ面の熊谷にいきなりびっくり。これは芝翫型なんだそうだ。
ハッシー(橋之助)は上手い人、だとぼくは思っているんだけど、さすがに義太夫狂言の初役(だよね?)は最初から完璧とはいかず。
でも、この“芝翫型”にこっちが面食らった分を差し引けば、上出来だったのでは?
そして菊坊(菊之助)の相模が良かった!
あんな役ができるようになったんだなぁ。声の使い方もうまいし、姿にも片はずしらしい厚みがある。お父さん(菊五郎)が若かった頃って、きっとこんなだったんだろうな。

芝翫型に関しては、相模のクドキになるところで、小次郎の首を熊谷が抱いて相模に渡す、というのが、情にあふれてて良かった。

「十六年は一昔・・・」

は、やっぱり花道で言った方が、このセリフの意味が際だつよね。

16年間、せっせせっせと育ててきたわが子を、一瞬にして失ってしまった無念、虚無感。今までの16年は、何だったんだ? って気持ち。せつない。

戦争反対、とかっていう主張よりも、熊谷は本当に「あぁもうホントどうでもいいや」って気持ちで坊さんになってしまうのではと思う。

どうしても“親”の方に感情移入してしまうなぁ。(また『人間・失格』の話しになりそうなのでセーブセーブ)

それから、梶原役のトータス(亀蔵)にいさん、出てきたときお父さん(片市さん)かと思っちゃった!(歌舞伎によくあるデジャヴ)

梶原や平山武者所といえば片市さんだったもんね・・・

トータスにいさんの方が十蔵さんよりお父さんに似てるのだろうか?

〈鏡獅子〉
真女方の「鏡獅子」って、めずらしいなと思った。まぁ、玉さんや時蔵さんもやってるけど。真女方さんがやると、どうしても後ジテが弱く感じる。
フクちゃん(福助)も頑張って足踏みならしてたけど、逆に「必死やな」って感じがして・・・。あと、今日は扇落としたりして調子よくなさそうだった。弥生も、小姓のあどけなさがあんまりなくて。
この人は、色っぽい役、仇っぽい役(夜の部の「土手のお六」なんて大得意)の方が断然良い。

〈毛抜〉
弾正って、演技力とかよりも、その人のもつムードや芸の大きさで魅せる役だからねぇ。
でも、不器用ながらも一所懸命に取り組む松緑を見ていると、どんな役の時でも“初挑戦”は必ず見なきゃ、って気持ちになる(って、要するに単なる激甘ファンなんだけど)

すべてのシーンに全力投球なんで、正直疲れた。
かといって、今から力の抜き方を覚えられても困るんだが。

うぅ〜ん、ジレンマ。

〈雪の道成寺〉
先月から「道成寺」バリエーションシリーズが続いてますが。
でもこれは、モチーフが安珍清姫である以外、さほど共通点はなし。

これに関してはね、
菊坊は、今日本で一番美しい男の子だ
としか言いようがないね。

つーか、
ホントに男なのか?! 脱がし
(以下略)

・・・すいません、取り乱しました。
踊りももちろんしっかりしてるし。
(正直、この幕では松緑なんてこれっぽっちも見てなかったぼく)

そうそう、あと、
研佑は勘太郎をしのぐかもしれない

役者にするのかなぁ? 延寿太夫。やっぱ清元の方に行っちゃうのかなぁ?
踊りは続けてほしいなぁ。なんか、惜しいよ。

〈杜若艶色紫〉
この狂言、タイトルだけはよく聞くんだけど(「かきつばた、いろもえどぞめ」と読む)、初めて観た。かっちょいい姉御、土手のお六が主人公。「東海道四谷怪談」の作者、四世鶴屋南北の作。
神谷町兄弟(フクとハッシー)中心に、ストーリーのおもしろさと早替わり、やたら人が死ぬ(こういう話、好きねぼく)の“ザッツ南北”であった。

おもしろかったよ、たしかに。

でも、10時間監禁(おだやかじゃねぇな)のラストに、2時間もある濃い〜芝居を見せられて、正直つかれたよ〜(−−;)

と、ふと考えたら、ハッシーは「陣屋」出て、これも出てる。・・・家にいる時間ねぇじゃん!(それは大げさだが、それでもすごい拘束時間だ。労働基準法は大丈夫なのか?←あほ、役者は例外だ)

・・・お疲れさま・・・(しかも最後には本物の雨に濡れてびしょびしょになるし/笑←今の季節に本水使うとは思わなかったなー。本水好きだなーこの兄弟(^^ゞ)

結局こんなに書いてしまったぼくも、体力の使い方間違ってるし。

最後まで読んでくださったあなた様も、(以下略)←こればっかり

ありがとさんでした。


ておどる 【2006年以降に書いた日記はこちら】てくてくミーハー道場