Kin-SMA放言
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2003年02月09日(日) 女優は、男だ(『恐怖時代』日生劇場)

『エリザ』の後半が残ってるが、本日はお隣の日生劇場にて上演中の『恐怖時代』(こうして書いていかないと、どんどん忘れるからな)

今さらであるが、
女優は、男でなければできない職業である
ということを痛感する。

浅丘ルリ子しかり、夏木マリしかり。

とにかく、とんでもなく男前。

あの骨太な存在感って、一体何なのだ?

(ちなみにルリ子様は、体重が30kg台であることは、よく知られている)

内容は、
「いつかはわかんないが、とにかく江戸時代のいつか。ある架空の大名の江戸屋敷が舞台。殿の寵愛を受けている側室・お銀の方(これがルリ子様ね)は、家老の春藤靭負(西岡徳馬)と密かに通じており、お家の乗っ取りをたくらんでいる。それに荷担する奥女中の梅野(夏木マリ)。お銀の方に横恋慕している医者の玄沢(大門伍朗)から毒薬を手に入れ、妊娠中の正室を亡き者にしようとする。その毒を正室の食事に盛る役目を、臆病者の茶坊主・珍斎(木場勝己)にやらせようとするが、その娘・お由良(三船美佳)がそれを密告しようとするので(以下ネタバレになるので略)」
という、
ザッツ、時代劇!
というもの。

とはいえ、脚本が谷崎潤一郎なので、「正義が勝たない」(爆笑)

とにかく谷崎潤一郎なので、「エロい」ヽ(´−`)ノ

なにしろ谷崎潤一郎なので(クドいわっ!)、「グロい」(・・・)

もう、やたらと人が死ぬ。死にまくる。

ラストシーンでは(ネタバレなので略)
 ↑
このラストシーンは、『ハムレット』を連想させたが、狙いだったのかな? それともぼくが、数少ない演劇体験から、似てると思っただけなのかな?

この舞台は、最初にルリ子様が上演した18年前には、蜷川幸雄氏が演出したそうで、今回もそれを踏襲しているらしい(今回の演出は、蜷川さんの弟子の井上尊晶氏)。

緞帳(これが、大名屋敷の雨戸の形をしている。ステキざんしょ?)が降りている状態でも、舞台前面に百合の花がたくさん植えられていて(この百合は、あとでむちゃくちゃ増える)、「おー、なんかニナガワだ」(分かってんのか? ホントに)って感じ。

しかも、ミュージカルでもないのに生バンドがいる!

5人編成で、バロックのさる名曲(実は、曲名が思い出せない。何だっけ・・・「アルビノーニのアダージョ」だと思ってたら、違ってたし)をモダンジャズっぽくアレンジしたテーマを演奏するのだが、これが、50年代か60年代あたりの時代劇映画を彷彿とさせる。カッコ良かった。

美術はニナガワ演出でおなじみの朝倉攝さんで、「ありえない写実主義」というか。大名屋敷なのに、ふすまがハーフミラーだったりするのだが、それを実に緻密に精巧に作ってあるので、役者は演ってて嬉しいだろうな、と思う。
 ↑
「何にもない空間」での芝居におととい大感心(この感想は後日アップします)した口で言うか。節操のないやっちゃ。

衣裳は、色使いで辻村寿三郎先生? と思ったが、違ってた(川崎員奥氏)。

この衣裳に一つだけ疑問がある。大名の酒宴の席で、家臣たちが裃着けてないのがちょっとひっかかった。「殿」の前に出るのに、裃着けないってアリなの? それとも「勤務中」じゃないから、いいのかな?
この辺の時代考証はよくわかんないが、時代劇(というより歌舞伎)好きとしては、いつも観ている舞台と様子が違うと「アレ?」と思ってしまう。

そういえば、腰元の帯の結び方も、立矢の字じゃなく文庫だったし。細かいことは気にせんで行こう。

さて、前述のあらすじには登場しなかったが、後半とんでもなく大活躍する“小姓”伊織之介。これを元(いつ解散したんだ?! 知らなかったぞ。といっても、全然興味なかったけど←おい)ΛuciferのMAKOTOが演じたのだが・・・




↑こらっ・・・

MAKOTOに関しては、ぼくは『NINAGAWA火の鳥』しか観ておらず(双眼鏡で見ても顔が見えなかった! さいたまスーパーアリーナだもんな。『サイコメトラーEIJI』も観てなかったし)、今回が二回目。
その、あまりにも貧困なMAKOTO体験で言わしてもらうと、
「顔だけじゃん」
(うわっ、また敵を作ったな・・・)
でしたね・・・うーん、ちょっと評価しずらい。

あぁ、教えられたとおりにやってるな、って感じ。
(教えられたとおりにやらずに自滅するバカ役者もいるわけだから、それだけでも感心なのかもしれないが)

藤原竜也レベルはそうそういないってことだな。ふっ(笑)<なぜお前が勝ち誇る?

おじさま役者連も達者な方ばかりで見ごたえがあっただけに(おじさま連に入れてしまうのは心苦しいが、元ピスタチオの保村大和氏。ここでも“殿”かよ(笑)。暴君ぶりはお手のものだが、さすがにあの感じではできなかったみたい。周りと合わせるにはしょうがないけどね)、若い二人(MAKOTOと三船)の役者がいかにも生硬で、物足りなかった。

お由良はすぐ殺されてしまうんだから(あっ、言っちゃった)いいんだけど、伊織之介はとにかく、この作品の谷崎色を司る役どころ。もうちっと得体の知れなさとかを出せるように、今後の修行に期待する。

あーそれにしても、ルリ子様は勿論のこと(しかし、なんだってあんなに綺麗なんだろう。その、単に美人の部類だとかいう意味とは別に)、夏木マリのすばらしかったこと。

幕が開いての第一声で、この“梅野”という役の持つ「怪しさ」「悪党ぶり」を全て表現してしまう、その力!(と、その美貌を犠牲にしてまでも“あのメイク”をした役者魂に感服)

えーもん見さしてもろたなー。






日生を出て東宝劇場前を通ると、お見送りのファンがまだいっぱいいた。

今日は東京地方、暖かくて穏やかな天気(一部、花粉症を発症した人もいたらしい。ううう〜恐怖の季節だ)。
ミドリちゃん、すぐるちゃん、卒業おめでとう。幸せになってね。
そして花組の皆さま、千穐楽おめでとう! おつかれさまでした。
(それより、いつになったらKinKi話が再開するのだ・・・?)


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