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St. A3Dayプチ連載その2
2008年06月08日(日)

すったもんだの末にサンジと一緒に暮らし始めて半年余り、自分達の仲は順調だったはずだ。
ここのところ忙しくてすれ違い気味の生活を送っていたが、それでも家で一緒にいられる短い時間、サンジの自分を見つめる目には溢れんばかりの愛情が宿っていた??ように見えた。少なくとも自分には。
毎日日付が変わってからでないと帰宅できないサンジは、それでも毎朝必ずエースのために朝食を作り、少し恥ずかしそうな顔でキスをして送り出してくれる。いつまでたっても初々しい新妻みたいな彼が可愛くて、ついつい長々と朝からするには濃厚すぎるキスを返してしまうエースを、早く仕事に行けと叱るけど、ほんのりと頬をピンク色に染めた彼は間違いなく幸せそうだった。
だけど???。
自分が気付かないだけで、寂しい思いをしていたのだろうか。何と言ってもコーザは一緒に暮らしているエースよりも、余程長い時間をサンジと共に過ごしている。それが仕事なのだから、と人に聞かれればそう突っ込まれるだろう事は分かっているが、妬けるもんは妬ける。コーザを弟の様に可愛がっているサンジには、とてもそんなことはいえないが。
しかし、弟だと思っていた相手が、実は火遊びの相手に昇格してしまったのだろうか。サンジはああ見えてかなりの寂しがりやだ。いつも傍に居てくれる相手にフラフラとなびいてしまったとしてもおかしくない…かもしれない。


青天の霹靂の様な出来事に、コーザにキレるかサンジに縋るか、それとも泣きながら店を飛び出すか、全く正常に機能していない脳みその中で、ただそんな事をグルグル考えていたら、背後からバタバタと慌ただしい足音が近づいてきた。
「コーザ、タクシーつかまったぞ!」
何やら切迫した声は、いやと言う程聞き覚えのあるものだ。目の前の光景から目を逸らしたい一心で、エースはまるでぜんまいじかけの人形の様にギギギ、と振り返る。そこにはやはり、大変特徴的な鼻をした自分の親友、ウソップが、珍しく泡を食ったような顔で立っていた。
「あれ、エース?」
ドアの前にぬーぼーと立ち尽くしていたエースに驚いた顔をしたウソップが、背後のコーザに視線を向けた。
「なんだ、もうエースに連絡したのか」
「違いますよ、勝手に来たんです」
抱き合う二人を全く気にした様子もないウソップに、コーザもまた、いつもどおりの人を小バカにしたような冷静な声で返す。その手が一度サンジの金髪を優しく撫で、項に添えられるのを見て、エースの顔がさらに引き攣った。
「とにかくボケッとしてないで手伝え、エース!」
どん、とエースの背中をどついて、ウソップが足早に二人に向かって歩いて行く。
「サンジ、ほら、タクシー呼んだから、病院行くぞ」
ウソップがそう言って、そっとサンジの肩に触れた。何度か名前を呼ばれ、サンジが僅かに身じろぎする。
ここに至って、エースはようやく何かがおかしいことに気付き始めた。最初の衝撃が大きすぎたせいでその機能を停止した脳で、二人の間で交わされていた一連のセリフを反駁する。
「ごめ…ウソ…」
ほとんど唇だけでそう言うと、サンジは酷く緩慢な動作で上半身を起こす。しかし、すぐにまたくったりとコーザの腕に倒れこんでしまった。
「ダメだこりゃ、おいエース、力自慢!タクシーまで運んでけ!」
ウソップにそう声をかけられ、エースはようやく恋人の身の上に起こった出来事を正確に理解した。
「サンジ……まさか具合悪いのか!?」
それまでぼーっと突っ立っていた男が、突然泡を食ったように叫んだのに、緊迫した様子でサンジの様子を見ていた男二人は思わずがっくりとうなだれた。
「何だと思ってたんですか!」
「このスットコドッコイ!」
思い切り突っ込んでくる声は無視して、エースは慌てて恋人の元に駆け寄る。
「サンジ…サンジ!どうしたんだよ、お前!!」
二人の冷たい視線にも気付かず、床に跪くと恐る恐るサンジの頬や肩に触れた。近くでよく見れば、その顔色の悪さに心臓がズキリと嫌な具合に跳ねる。普段から白い顔が、血の気を失って蒼白だった。
「倒れたんですよ、いきなり」
「た、倒れた!?」
いつに無く硬いコーザ声に、さっきまで呆然としていた男の顔色がみるみる青くなる。
「サンジ、サンジ、大丈夫か!?」
途方に暮れたような情けない声で呼びかけると、サンジはうっすらと目を開いた。
「…エース?」
「オーナー、いいからしゃべらないで」
また身体を起こそうとしたサンジを腕に抱き込んでコーザが遮る。
まるで恋人を取られた格好のエースは、しかしそれすら気付かぬ様子で、サンジに伸ばした腕を中途半端に宙に浮かせたまま、ただオロオロと二人を見下ろしていた。
「起きろエース!とにかく病院行くぞ」
「お、おお!」
見かねたウソップにパン!と頭を張られてようやく我に返ったエースは、コーザの腕からサンジを受け取ると、そっと抱き上げた。

続く


◇ ◇ ◇ ◇


そんなオチね(まだ終わってませんが)って声が聞こえてきそうな…。
あれー、この話のエースってこんな人だっけ?ヘタレはヘタレだけど、なんかもうちょっとこう……ま、いいか。
なんだかマメに更新してますけど…自分でも怖いですよ。多分近いうち息切れします(そんな事予告すな)。

○omoさん、今日はちょっと長めにしてみました(笑)。
メルフォありがとうございました。

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