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エーサン小咄続き
2005年10月05日(水)

深夜のキッチン。
火にかけた鍋の様子を見ながら、明日の朝焼くパンの生地を捏ねる。
かつてサンジが働いていたレストランでは見習いがやっていたような仕事も、この船の上では彼の仕事だ。
体重をかけて、黙々とパン生地を捏ねる。
どんなに単純で単調な作業でも、こと料理の事ならばサンジはおしなべて愛している。
悩み事がある時等、よく恐縮する見習いに混じって、ひたすらたまねぎを刻んでみたり、ジャガイモをマッシュしたりしていた。
そうすればすぐに頭の中は空っぽになって、元々単純なサンジは、大抵の悩み事など忘れてしまっていた。
それなのに、今は???。
気が付けばあの男の事を考えている。

作業の手を止めて、後ろを振り返る。
誰もいないラウンジ。誰もいないテーブル。
当然の事ながら、そこに彼はいない。ジリジリと肌を焦がすような視線もそこにはない。
そんな事、わかりきっているのに。
あの日以来、一人のキッチンで、サンジはこうして何度もテーブルを振り返る事を繰り返しては、その度そんな自分に舌打ちする。

重いため息を吐いて、パン生地に濡れた布巾をかぶせると、一晩寝かすために冷蔵庫に入れる。




あの日から、身体の火照りがおさまらない。

シンクに寄り掛かり、煙草に火を付けて、ぼんやりとテーブルに目をやりながら煙を吐き出す。
まるでそこに何かが潜んでいるかの様に、慎重に、ゆっくりとテーブルに近づく。
テーブルの縁に指を這わせる。あの日、あの男はここに座っていた。食い殺しそうな目でサンジを見ながら。
身体の中から掴んで揺さぶる様な暴力的な視線に犯された。奥の奥まで欲の籠った熱で焼かれた。

灰皿を引き寄せて、椅子に腰掛ける。
危険だとわかっているのに、気付けば彼の事ばかり考えている。
痕になるくらいきつく腰を掴んできた彼の手の感覚を思い出して、ズキリと下腹の辺りに突き上げるような鋭い感覚が走る。サンジは思わずうめきながら、両腕で己の体を抱いて背を丸めた。

あれだけあからさまな視線を向けておいて、あの男は、表面的には抱擁ひとつ、キスのひとつも与えずに去って行った。
あの日、彼の姿が消えた後、サンジは腰が抜けて無様に床にへたり込んでしまった。震えが来る程に欲情していた。
それでも、熱を持った性器に意地でも触れなかったのは、そうしてしまえば、そこを慰める自分の指は、頭の中で、間違いなくあの男の指に摩り替わっていただろうから。

だけど、以来ずっと身の内で収まらない熱に、抵抗を諦めたのは、翌日の夜。
彼のギラギラした視線を、腰を掴んだ大きな手を、想像しただけで、もう触れる前から性器は硬く勃ち上がっていた。夢中で自身を擦り上げて、気付けば驚く程早く達していた。

もうそれからはなし崩しだ。
セックスに関しては、自分は案外淡白なタイプだと思っていた。
なのに、彼の事を思ってする自慰に病み付きになった。
終わった後は酷い自己嫌悪に陥るのに、結局翌日も、その翌日も彼の視線を思い出しては衝動を抑える事ができなかった。




俯いたまま、はあ、と熱い吐息を零す。瞳がトロリと濡れてくる。
股間はもうしっかりと熱を持っているけれど、サンジはわざとそこには触れずに、身体の熱を弄ぶように、フワフワとした頭で、前戯のようなつもりであの日の彼を思い出す。

『お前の事、頭の中で何度も何度も犯した。めちゃくちゃに』

今も鼓膜に張り付いている彼の声。
ゾクリと身体を震わせて、僅かに眉を寄せ、熱い溜め息を零す。

彼の手が身体中を這い回るのを想像するだけで、乳首が硬くしこる。
シャツの上からそっと指を這わせると、そこから全身に痺れる様な快感が広がる。
自慰の時にこんなところに触れた事なんてなかった。女の子に戯れに触れられたって、くすぐったいだけで、快感など感じた事など無かったのに。
エースの視線の熱は、ジワジワと未だサンジを侵食し続けている。
彼は視線だけで自分の身体を作り替えてしまった。

シャツの中に手を突っ込んで、揉みしだくように胸の肉をまさぐる。
「ふっ…ん…」
指先で乳首を押しつぶす様に刺激しながら、テーブルに顔を伏せる。震える手でベルトを外して下着の中に手を突っ込むと、そこはもう、しっとりと濡れていた。
椅子の上からずるりと床にずり落ちて、膝を付いた姿勢で性器を握りこむ。
「アァ…」
ゆっくりと扱き上げながら、きつく目を瞑って、テーブルの縁に額をこすりつける。

『泣いて嫌がるお前を裸に剥いて全身舐め回して噛み付いて、ケツに俺の性器突っ込んで、ぐっちゃぐっちゃに揺さぶって、何度もお前の中に出した』

耳を覆いたくなる様な台詞を思い出して、ぎゅっと眉を寄せる。
ジン、とあり得ない所が疼いて、ブルリと身体を震わせた。性器を握った手に、思わずきゅっと力が入る。またとろりと先端が濡れてしまった。

こんなの嘘だ、嘘だ。だって???。
「した事なんて…ないのに…」
そんな場所に誰かを受け入れた事なんて一度だって無い。考えた事もなかったのに。
それなのに、サンジの意思とは関係なく、ヒクリと痙攣してしまったそこを思わずきゅっと締めれば、腹の奥がズクリと疼く。それは明らかに快感で。

意識して、殊更ゆっくりと自身を刺激する。
簡単にイってしまわないように。この快感を長引かせる様に。

彼のセックスを想像する。
あの大きな手で、節の高い長い指で、サンジの体を撫で回す。
サンジは、彼の指先が意外に器用なのを知っている。
キッチンでリンゴを見つけ、目を丸くするサンジの前で、腰に差したナイフでくるくると皮を剥き初めた事があった。櫛形に切った一切れを、サンジの口に突っ込んできた。
「絶対丸かじりするタイプだと思ってた」、そう言えば、「あんたに食わせるためにだよ」と言って笑った。

嫌がる自分の足を無理矢理開いて性器に触れ、興奮してもう濡れているその部分を、いやらしい言葉でからかわれるかもしれない。
あの器用に長い指で、サンジでさえ触れた事の無いような奥を暴いて、きっと嫌だと泣いても許してくれないのだ。
「エース…っ」
もう自慰の最中に彼の名を呼ぶことも当たり前になった。
それどころか、想像の中の自分は、彼に媚びて甘えて、さらなる愛撫の続きを強請ったりもするのだ。
「あ、あ…イク…エース、もういっちゃう…!!」
達しそうになって、サンジは自身を追い上げる手を一度緩める。
荒い息を吐きながら、テーブルクロスを掴んで必死で自分を抑えた。
「ふ…ああ…」
ヌルヌルになっている先端の割れ目を、そっと震える指先で撫でる。
意地悪な彼は、きっとそう簡単にはイかせてはくれない。必死で解放を強請るサンジを焦らす様に、一度愛撫の手を止める。
焦れて焦れて、泣きながら腰を振るサンジを、彼は酷薄な笑みを浮かべて見下ろすのだ。
『イカせて欲しいなら、ちゃんとおねだりしてみな』
「ああ…エース…エース、お願いだから…触って…弄って…」
一人芝居に興奮して、こらえ性の無いサンジは我慢出来なくてそこをきつく扱き上げた。
「あ、あ、あ…エー…ス…っっ!!」
クロスを掴んだ手にぐっと力が入って、知らぬ間に引き寄せる。テーブルの上の灰皿が床に落ちて転がる鈍い音がする。それでももう、暴走する身体は止まらない。
「あっ…エース…エースっ…イクっ…!!」
どっと体温が上がって、全身にしっとりと汗をかきながら、身体を硬直させる。
んんんーーー、と抑えきれずに腹の底から絞り出す声と一緒に、サンジは勢い良く床に精液をまき散らした。
長引く絶頂感に、いつまでも身体がビクリビクリと震える。
やがて強ばっていた全身の筋肉がぎこちなく弛緩して、余韻に惚けた顔で、サンジはくたりと足を崩して床にへたり込む。思わず寄り掛かった背後の椅子が、サンジの体重にズズ、と後ろにずれて、そのままごろりと床に横向きに倒れ込む。
彼の事を思ってする自慰は、これまで経験した事もないくらい興奮と快感を呼び起こす。出した後、しばらく動けない程に。
乱れに乱れた着衣のまま、身体を丸めて床に転がる自分の姿に、サンジは自嘲の笑みを浮かべる。

「…バカみてぇ…俺」
身体の熱が引いて、冷静になった途端に、自己嫌悪と悔しさが沸き上がってくる。
これじゃあの男の思うツボだ。

閉じたままのまぶたに涙がにじむ。
もしも、また会う事があったなら、自分は一体どんな顔をして彼の前にいればいいのか。
もしも、もう二度と会う事が叶わなかったら、自分は一体どうなってしまうのか。

どちらもたまらなく恐ろしくて、サンジは両腕で自分の身体を抱くと、きつく目を閉じた。

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リクエストにお応えし、こないだのエーサン小咄の続き。
サンジちゃん妄想エッチ。
…もう、この子ってば…。

えーっと、この日記はどこまで書いていいんだったかな…?

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