エンターテイメント日誌

2007年01月27日(土) 韓国人よ、恥を知れ! <王の男>

韓国では国民の4人に1人が観るという大ヒットとなり、第43回大鐘賞で最優秀作品賞・監督賞・脚本賞・主演男優賞・助演男優賞など、史上最多の10部門で受賞した「王の男」を期待して観に行った。そしていたく失望した。評価は最低最悪のFである。

この映画の何が許しがたいといえば、カンヌで最高賞のパルムドールを受賞した香港映画「さらば、わが愛〜覇王別記 」の稚拙な模倣だからである。ご丁寧に大道芸人である主人公ふたりが「覇王別記」そっくりの衣装で京劇を演じる場面さえあるのだ。当然同性愛を示唆する場面もあるのだが、哀しいかな「王の男」で女形を演じる役者は「覇王別記」のレスリー・チャンほど美しくない。いや足元にも及ばない。そして「王の男」で演じられる劇は致命的に下品である。下ネタで王は笑ってもこっちはちっとも可笑しくない。それに引き換え「覇王別記」は格調高かったなぁと映画館でため息をつき、遠い目をした次第である。

日本映画だって「ゲド戦記」や「日本沈没(リメイク版)」があるのだ(しかも大ヒットした)、韓国にも駄目な映画(ゴミ)があって当然である。しかし許しがたいのは「王の男」みたいなみっともない猿真似を賞賛し、挙句の果てにアカデミー外国映画賞の韓国代表に選ぶとはどういう了見か!?恥を知れ、恥を。「漢字を発明したのは韓国人」という主張に中国・人民日報社が「荒唐無稽」と激怒した事件を思い出した。

「王の男」は結局アカデミー賞候補から漏れたが当然である。日本の評論家からも無視され、「キネマ旬報」「ロードショー」誌などのベストテンでも落選した。代わりに高い評価を得たのが天才ポン・ジュノが撮った「グエムル〜漢江の怪物〜」で、キネ旬ベストテンでは堂々3位に入選した。今回韓国代表にすべきだったのは「グエムル」なのだ。

韓国映画はみっともないことに一度もアカデミー外国語映画賞の候補になったことがない。一方日本映画は「羅生門」(1951)「地獄門」(54)「宮本武蔵」(55)と3度受賞し、近年では「影武者」(80)「泥の河」(81)「たそがれ清兵衛」(2003)など実に11回もノミネートされている。格が違うのだ。

しかし、韓国にもアカデミー賞ノミネートに値する傑作がなかったわけではない。「風の丘を越えて/西便制」「オールド・ボーイ」「殺人の追憶」などがそれに該当する。ところが、「オールド・ボーイ」「殺人の追憶」は代表に選ばれず、代わりに出品されたのが「ブラザーフッド」(04)や「トンマッコルへようこそ」(05)なのだ。馬鹿じゃないの!?「ブラザーフッド」なんか「プライベート・ライアン」の明らかなパクリじゃん。選考委員のセンスのなさは目を覆いたくなる。韓国の映画関係者がまずなすべきことは真の傑作を見抜くセンスを磨くことだろう。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]