エンターテイメント日誌

2003年10月25日(土) Down with Love

お洒落でキュートなラブコメディを期待して映画「恋は邪魔者」を観に行った。・・・が、期待は見事に裏切られた。

確かに色彩豊かな衣装や非現実的でロマンチックな舞台装置は素晴らしい。マーク・シェイマンのごきげんな音楽は全編ゴージャスに鳴り響いて爽快ですらある。しかし物語の展開が気に入らない。下手に凝って無理な仕掛けなどせず、もっと素直なコメディで良かったのではなかろうか?あれじゃ、ヒロインのレニー・ゼルウィガーはただの未練がましくて嫌みな女じゃないか。非常に不愉快だった。レニーの唐突な長台詞も不自然で間延びする。脚本が駄目。

マーク・シェイマンは「サウスパーク 無修正映画版」で見事なアニメーション・ミュージカルを創作し、アカデミー主題歌賞にもノミネートされた。今年のトニー賞では舞台ミュージカル「ヘアスプレー」で見事に最優秀楽曲賞を受賞、乗りに乗った作曲家である(余談だがゲイである彼はトニー賞授章式で恋人の作詞家スコット・ウィットマンと壇上で熱烈なキスを交わし、話題となった。男同士のキスに仰天したNHKはこの場面をカットして放送し、これが激しい非難を浴びた。結局後にNHKはノーカットで再放送する羽目になる)。

シェイマンが作曲し、レニーとユアン・マクレガーがデュエットするエンディングの主題歌が最高の出来。しかし、「シカゴ」のレニーと「ムーラン・ルージュ」のマクレガーという、唄えるふたりが揃っているのだし、どうせなら全編ミュージカルにした方が格段に良かったのではなかろうか?所詮、他愛もないお話なのだから。

劇中エド・サリバン・ショーでジュディ・ガーランドが"Down with Love"を唄う場面が登場するが、実際は1963年から64年にかけてアメリカCBSで放送された「ジュディ・ガーランド・ショー」の映像が使用されている。さらに具体的に言えばSHOW #24の一場面で、DVDのVolume4に収録されている。

北米で発売された「ジュディー・ガーランド・ショー」DVDボックスセット全2巻は人類に残された偉大なる遺産である。必見。僕は全編視聴したがいやはやもう凄い充実度。エンターティナーとしてのジュディの魅力に完全にノック・アウトだっ。ゲストで登場した若き日のバーブラ・ストライザンドが唄う"Down with Love"も収録されていてこちらも見応えがある。残念ながら国内版のDVDは出ていない。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]