エンターテイメント日誌

2003年08月12日(火) T3、カリフォルニア州知事選に出馬するの巻

大方の予想に反してアーノルド・シュワルツェネッガーは次期カリフォルニア州知事選挙への出馬を正式に表明した。世論調査でも他候補の追随を許さぬ圧倒的優位に立っているという。

かつてハリウッド・スターからカリフォルニア州知事に華麗なる転身を遂げ、遂には合衆国大統領まで昇りつめた男がいた。レーガン元大統領である。あの名作「カサブランカ」で主人公のリック役を当初は俳優ロナルド・レーガンが演じる予定だったというのは嘘みたいな話だが、紛れもない真実である。しかしシュワちゃんは大統領になることは決して出来ない。なぜなら現行法では大統領は米国出身者しかなれないと決められており、シュワちゃんはもともとオーストリア出身のボディービルダーだからである。

実は「ターミネーター3」は当初、製作費削減のためカナダでロケされる予定であったが、これをシュワちゃんが強行に反対。自らのギャラを約800万ドル(約10億円)もカットするからロサンゼルスで撮影するようにと要請した。理由は「家族と離れたくないから」ということだったが、今から考えてみればこれはカリフォルニア州知事選挙に立候補する為の布石だったんだろうな。だってロサンゼルスはカリフォルニア州最大の都市。そこでロケすることにより地元に利益を誘導したのだから。その経済効果は計り知れないだろう。

さてそのT3である。ジェームズ・キャメロンが脚本・監督した「ターミネーター」とT2は掛け値なしに映画史に燦然と輝く大傑作であった。T3を引き継いだジョナサン・モストゥ監督のプレッシャーは相当なものであったろう。しかし彼はその高いハードルを見事にクリアしたと想う。突出した傑作では決してないけれど娯楽作品としては十分及第点だ。派手なアクションを矢継ぎ早に繰り出し、爽快なまでに巨大なセットや乗り物を破壊し尽くす。ただし、前2作が全く観たことのない斬新さを体感させてくれたのに対し、T3は古色蒼然たるアクション映画を観ているような既視感、つまりあまりにも映画の作りがオーソドックスであるということに不満を感じない訳ではない。言い換えるなら安心して観ていられる居心地の良さがある反面、手に汗握る興奮・張り詰めた緊張感をこの映画に求めるのは無い物ねだりだということだ。

脚本は良く練られている。前作までのファンへの目配せ、ウイットが愉しいし、キャメロンの脚本の最大の弱点であったタイム・パラドックス(タイム・トラベラーは過去を改ざんしてはならないという不文律)という問題を逆手にとってT3では結局、来るべき未来を変えることは出来なかったという皮肉な結末になっているのがすこぶる面白かった。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]