エンターテイメント日誌

2002年07月06日(土) 君は、ステインボーイを見たか?

「シザー・ハンズ」「バットマン」「スリーピー・ホロウ」の監督ティム・バートンは一貫して<異形に生まれた者の哀しみ>を追及してきた。彼の初期の短編「フランケンウィニー」(フランケンシュタインを犬に置き換えたパロディ)や「ヴィンセント」はまた、往年の恐怖映画やその俳優(ヴィンセント・プライス)への憧れや畏敬の念がこめられた熱く、素敵な作品であった。この想いは大傑作「エド・ウッド」へと結実する。

さらにバートンを理解する上で、彼のキャリアがディズニーのアニメーターとして出発したということも忘れてはなるまい。彼が製作やキャラクター・デザインを担当した「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」や「ジャイアント・ピーチ」といった人形アニメーションがあるのもこうした背景があってのことである。以前<きもかわいい>(気持ち悪いけれど可愛い)という言葉が流行ったが、そういうキャラクター達が賑やかに活躍し、そしてほんのちょっぴり哀しいミュージカル仕立ての「ナイトメアー」は筆者大のお気に入りである。朋友ダニー・エルフマンの音楽もさえに冴えている。

しかしながらバートンの最新作である「猿の惑星」のリ・イマジネーション版は一見、彼お得意の題材でありながら救いようのない駄作であり、期待が大きかっただけにこれには心底がっかりした。バートン自身にとっても不本意な出来だったようで、これはむしろ監督のクレジットを<アラン・スミシー>にすべきではなかったのか?とさえ想う。

そんなバートンがSHOCKWAVEを用いて短編アニメーション・シリーズを創り、ウェブ上に公開しているのが「ステインボーイ」である。こんな掌(たなごころ)の作品にまでダニー・エルフマンも参加しているのがまた嬉しい。

クリック→これがステインボーイのHPだっ!

無料でこれだけ面白い作品が観られるのに見逃す手はない。まさに水を得た魚。ここにはバートン・ワールドが炸裂している。これは必見ですぞ。


 < 過去の日誌  総目次  未来 >


↑エンピツ投票ボタン
押せばコメントの続きが読めます

My追加
雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]