エンターテイメント日誌

2001年09月04日(火) 中国映画 2題

「あの子を探して」
素朴な映画だ。演じる俳優が全員演技経験のない素人ということも大きな要素だろう。ハリウッドは無論のこと、現在の日本でもこういう映画は決して作ることが出来ないだろう。
頑固者のヒロインがある問題を解決するために田舎から大都会へ出て来て、誰からも相手にされなくても信念を貫き、最後には成果を勝ち得るというプロットは、同じチャン・イーモウ監督の「秋菊の物語」を彷彿とさせる。しかし今回のヒロインは「秋菊…」のコン・リーや「初恋の来た道」のチャン・ツィイーみたいな絶世の美人ではない(笑)。そこがイーモウ作品の中では異彩を放っていると言えよう。それにしても映画で描かれる現代中国の実状には心底驚かされた。年間少なくとも100万人以上の子供達が貧困のため義務教育の中断を余儀なくされ、家業を手伝ったり、出稼ぎに出ているという。都会と山村の貧富の差は目を瞠るばかりだ。映画に出演した子供達は今まで誰ひとりとして米飯を食べたことがなかったという。撮影現場では美味しい食事が食べられるので撮影中に栄養が改善し、どんどん体重が増えていったとか(^^;。社会主義国家は全人民が平等であるというのが本来あるべき姿ではないのか?まあ、こういう問題提起を持った映画を製作できる自由な雰囲気があるという事実が、あの国の唯一の救いだろうか。
「初恋の来た道」との抱き合わせ、DVDツイン・パックを購入。単品で買うよりはお得になっている。また、ツイン・パックのみのピクチャー・ディスク仕様が嬉しい。だってチャン・ツィイーが超カワイイんだもん(^^;。

「山の郵便配達」
父と子の情愛を描く本年度ミニ・シアター系で大ヒット中の作品。僕は東京の岩波ホールで観たが、早朝にもかかわらず異様な熱気に包まれ、初回上映から補助椅子も出る盛況であった。10年ぶりの岩波ホールであった。想えばここから火がついて全国へミニ・シアターのムーブメントが広がっていったんだよなあ、と感慨に耽った。
さて「山の郵便配達」だが、確かにしみじみとした良い映画である。自然描写も美しい。しかしながら物語の語り口が余りにもストレートでもう少し工夫があっても良いのではないかと感じた。特に父親の回想場面が余りにも陳腐。世間では絶賛の声が高いが、僕はその凡庸な演出にどうもノレなかったなあ。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]