狛犬堂備忘録


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2005年11月30日(水) 100題「イメージが結ぶ100の言葉と100の本」後編





051 「復讐」からイメージする本は?

和田慎二『銀色の髪の亜里沙』(文庫サイズだった。絶版なのか?)
小学生のときに読んだので、刷り込みが形成されたらしい。
元ネタは明らかにデュマの『モンテ・クリスト伯』。
犬が読んだのは図書室にあった黒岩涙香訳『巌窟王』。背表紙が取れかけていた。

052 「毒」からイメージする本は?

ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』(東京創元社)
次点はナサニエル・ホーソーン『ラパチーニの娘』。

053 「無人島」からイメージする本は?

ゴールディング『蝿の王』(新潮文庫)
映画も見に行って、暗さにどんより。

054 「異国」からイメージする本は?

クルアーンこと『コーラン』
中近東帰りの友人から土産に携帯用コーランをもらった。
一文字も理解できない本は初めてだったので、インパクトが大きかった。
もちろんデヴァーナーガリーもぜんぜん読めないけど。

055 「戦記」からイメージする本は?

『保元物語』(岩波文庫)
崇徳院と悪左府、犬にとっての日本史二大アイドル(違)が出てくるから。
後白河め…。

056 「教授・助教授」からイメージする本は?

コナン・ドイル『失われた世界』(創元SF文庫)のチャレンジャー教授。
次点は筒井御大の『文学部唯野教授』(岩波現代文庫)、または
山崎豊子『白い巨塔』(新潮文庫)。財前教授の傲慢さがたまりません。
番外編はジョーンズの『ジェイムスン教授』シリーズ(ハヤカワ。絶版)と
千変万化の李教授@吉川良太郎『ペロー』シリーズその他。
犀川先生と火村先生は、センセイと呼びたいのではずした。

057 「中国」からイメージする本は?

『西遊記』
吉川版『三国志』『水滸伝』もいいが、
いちばん最初に読んだ中国伝奇はこれ。
ラスト近くで、流れていく自分の肉体を見送る一行のイラストに衝撃を受けた。

058 「医者」からイメージする本は?

手塚治虫『ブラック・ジャック』(秋田書店)
子犬が毎日これに読みふけって、ヒョウタンツギの絵を描いているので。

059 「宇宙」からイメージする本は?

…SF読みには酷な設問で(笑)
小学生のときならハミルトンの『キャプテン・フューチャー』、
中学生のときならアシモフ『銀河帝国興亡史』といったはず。
高校生のときなら選びかねて絶句。
今は、シンプルに幸村 誠『プラネテス』(講談社)ということで(笑)

060 「超能力」からイメージする本は?

ジョン・ウィンダム『さなぎ』(ハヤカワ文庫)
次点は、神林長平『七胴落とし』(ハヤカワ文庫)
ヴォークト『スラン』(ハヤカワ文庫)も可。
思いついた本はテレパシー能力を取り上げた話ばかり。
宮部みゆき『クロスファイア』(光文社ノベルス)や
平井和正『幻魔大戦』(角川文庫)、大友克洋『童夢』など
PK能力(とその変形)を扱っているものも読んでいるのだが、
自分にとっての超能力のイメージはテレパシーということか。
沖方丁『微睡みのセフィロト』(徳間デュアル文庫)の
超能力のバラエティは面白かった。

061 「魔法」からイメージする本は?

アーシュラ・K・ル=グウィン『ゲド戦記』シリーズ(岩波書店)

062 「ロボット」からイメージする本は?

ブラッドベリ『歌おう、感電するほどの喜びを!』(ハヤカワ文庫)
タニス・リー『銀色の恋人』(ハヤカワ文庫)
士郎正宗/押井守/山田正紀『イノセンス』(徳間デュアル文庫)

…ロマンチックすぎ。いまのなし。

「良いも悪いもリモコン次第」の横山光輝『鉄人28号』
手塚治虫『アトム』<または浦沢直樹『PLUTO』
清水玲子『ジャック&エレナ』シリーズ、特に『竜の眠る星』『22XX』(白泉社)

だめだ…ぜんぜん機械っぽくならない orz

063 「神」からイメージする本は?

強いて云えば、ダンテ『神曲』(岩波文庫)

064 「幽霊・妖怪」からイメージする本は?

藤田和日郎『うしおととら』(小学館)
幽霊も妖怪もてんこもり。

065 「絵画」からイメージする本は?

J.A. コメニウス『世界図絵』平凡社ライブラリー
世界で最初の子供向けの絵入りの本。
次点は、南日本新聞社編『アダンの画帖 田中一村伝』(小学館)
田中画伯の絵から漂う凄味の理由を教えてくれたので。

066 「音楽」からイメージする本は?

エリック・フォスネス・ハンセン『旅の終わりの音楽』(新潮クレストブックス)
次点、O・S・カード『ソングマスター』(ハヤカワ文庫)
こちらは音楽というよりは歌だけれど。

067 「パソコン」からイメージする本は?

現在の犬にとってはパソコン=ネットなので、
ギブスン『ニューロマンサー』三部作(ハヤカワ文庫)
と思ったけれど、PCそのものならば彼とスターリングの
『ディファレンス・エンジン』(角川書店)のほうがいいかも。

068 「遺伝子」からイメージする本は?

ドーキンス『利己的な遺伝子』とか書くとかっこいいんだろうが、
恐竜ヲタクとしては、マイクル・クライトンの
『ジュラシック・パーク』(ハヤカワ文庫)を(涙目)←泣くなよ
いくらあんな方法では無理だと云われても
やっぱり生きてる恐竜が見たいよう…orz
飛博隆『象られた力』(ハヤカワ)のなかの「夜と泥の」も忘れがたい。
…とここまで回答して、早川文庫ものの多さに眩暈が。

069 「進化」からイメージする本は?

グールド『ワンダフル・ライフ』(早川書房)
ビバ、カンブリア紀の絶滅生物。

070 「証明」からイメージする本は?

quod erat demonstrandum...「証明終わり」といえば、エラリイ・クイーンもの。
高田氏の『QED』シリーズは未読なので(笑)

071 「未来」からイメージする本は?

ディクソン他『アフターマン』&『フューチャー・イズ・ワイルド』
この二冊を読むと、数万年単位で地球の未来を考えるのが面白くなるので。
人間社会のイメージとしては、ウェルズ『タイムマシン』とオーウェル『1984』。暗。

072 「歴史」からイメージする本は?

山川書店の歴史参考書。
みもふたもないが、世界史年表が好きだったので。

073 「王」からイメージする本は?

小野不由美『十二国記』シリーズ(講談社)
王になることがこれほどの責務を伴うというのは、
当たり前なんだが、目からウロコだったので。
とくにこの世界は目に見える形(国の荒廃、麒麟の失道、など)で
失政が明らかになるので怖い。死ぬことでしか退位できないし。

王様たちのなかでは、陽子がいちばん好き。

074 「義理と人情」からイメージする本は?

柴田よしき『フォー・ディア・ライフ』(講談社)など
保育園の園長先生兼私立探偵の花ちゃんシリーズ。
義理というのはこの場合、彼が背負った巨額の借金のことか(笑)

075 「階段」からイメージする本は?

つかこうへい『蒲田行進曲』(角川文庫)
JR蒲田駅はあの歌が発車合図になっていて、聞くとつい笑ってしまう。

076 「扉」からイメージする本は?

タイトルなら、ゼラズニィの『その顔はあまたの扉、その口はあまたの灯』
内容なら新井素子『扉を開けて』(コバルト文庫)

077 「塔」からイメージする本は?

すぐ思い浮かぶのは映画で観た『指輪物語・二つの塔』だが
好みとしては『はてしない物語』の象牙の塔。
おさなごころの君の初々しさといったら。
イーザウの『ファンタージエン』読みたいな。

078 「記念日」からイメージする本は?

サラダ記念日とか、カラダ記念日@「この刺青いいわと女(スケ)が
言ったから(略)」とか考えてみたが、しっくりいかない。
結婚の祝いに贈られたカリール・ジブランの箴言集『預言者』(至光社)が
唯一、記念日という晴れがましい語にふさわしいかもしれない。

079 「クリスマス」からイメージする本は?

『聖書』…石を投げないでください。
犬のアタマの中では、十字架やら三賢者やら厩やら羊飼いやらが
がっちりフォーメーションを組んでいるので、
甘いデートだのサンタさんだのがつけいる隙がないのだ。
クリスマスプレゼントといったら乳香と没薬と黄金です。
(靴下にそんなん入ってたら厭)

080 「飛ぶ」からイメージする本は?

飛んでいくのはラーゲルレーヴ『ニルスの不思議な旅』(偕成社文庫)
飛んでくるのはトラヴァース『メアリー・ポピンズ』シリーズ(岩波少年文庫)
でも飛ぶネタでいちばん好きなのはラピュタ。スウィフトじゃないほう。

081 「スター」からイメージする本は?

にしきの。←そんな本はない
ロックスター:レスタト@アン・ライス『ヴァンパイア・クロニクルズ』(扶桑社)
B級映画のクイーンこと女優:リリー・キャヴァノー@キング&ストラウブ『タリスマン』(新潮文庫)
J‐POPスター:上條 淳士『TO−Y』(小学館)
『NANA』は読んでないし、『快感フレーズ』は立ち読みの最初の数ページで挫折。
年寄り。あいわなびーゆあぽっぷすたー♪(逃)

082 「田舎」からイメージする本は?

井上ひさし『吉里吉里人』(新潮社)

083 「紅茶」からイメージする本は?

山田南平『紅茶王子』(白泉社)
どこかで見たことがあるティー・ブレンダー氏が登場したので(笑)

084 「手品・マジック」からイメージする本は?

森博嗣『幻惑の死と使途』(講談社文庫)
キャロル・オコンネル『アマンダの影』(創元推理文庫)
(犬が読んだのは竹書房版で邦題は『二つの影』だったと思う)
ウェイランド・ドルー『ウィロー』 (ハヤカワ文庫)

085 「乗り物」からイメージする本は?

車なら、アストンマーチン@フレミング『ジェームズ・ボンド』シリーズ
飛行機なら、神林長平『戦闘妖精・雪風』(ハヤカワ文庫)
生きものなら、James Gurney『Dinotopia』のケツァルコアトルス。

086 「約束」からイメージする本は?

W・W・ジェイコブズ『猿の手』
約束というよりはルールだが…。
ほかに思いついたのが、夢枕獏『九十九乱蔵』シリーズの
上記と似た趣向の短編「死をもちてあはむ」の話(タイトル失念)だったりする。
約束という言葉に、軽々しく口にしてはいけないもの、
というイメージがあるらしい。死をも超える契約に近いというか。
なんでそんな(汗)

087 「人形」からイメージする本は?

ブルース・チャトウィン『ウッツ男爵』(文藝春秋)
シュヴァンクマイエルの『ファウスト』とも書きたいが
あれは映像作品なので。ああ、両方ともチェコが舞台だな。
北森鴻の冬狐堂シリーズ『瑠璃の契り』(新潮社)にも怖い人形の話がある。
古典ならホフマン『ホフマン物語』のオランピアのくだり。
番外編はもちろん、江戸川乱歩『人でなしの恋』(笑)

088 「バッサリ 」からイメージする本は?

隆慶一郎『鬼麻呂斬人剣』(新潮文庫)

089 「辛辣」からイメージする本は?

伸たまき(旧称)『PALM』シリーズ(新書館)
二、三の天然系をのぞいてキャラクターがみんな辛辣。
Seamus Smythの『QUINN』もシビアというかなんというか。

090 「艶っぽい」からイメージする本は?

美麗な蝶の図鑑。マクロ系の蛾でも可。
ああ、読んでいるひとがひくのが見えるようだ…(諦)

091 「眠る」からイメージする本は?

向田邦子『眠る杯』(講談社文庫)

092 「青春」からイメージする本は?

久保帯人『BLEACH』(集英社)
最近読んでる中でいちばんそれっぽい。とくに恋次…。

093 「スポーツ」からイメージする本は?

サム・ルウェリン『栄光のポーツマス』(早川書房)
世界一周を競うヨットレースの話。
昔、出たばかりの『ジュラシック・パーク』@ハードカバーを貸してくれた上司が、
「君はこういうのも好きかも」と持ってきてくれた本。ありがとうY部長。
あとは、ディック・フランシスの競馬もの。
野球やサッカー、テニスは観るほうが好きなので本ではあまり。

094 「家族」からイメージする本は?

吉本ばなな『キッチン』(新潮社)
舞城王太郎『煙か土か食い物』(講談社ノベルス)
池澤夏樹『すばらしい新世界』(中公文庫)
あさりよしとお『宇宙家族カールビンソン』(少年画報社ほか)
まるちゃんの原作は読んだことが無いから書かない。
家族でなくて「夫婦」ならまた違うんだが。

095 「夢」からイメージする本は?

ミヒャエル・エンデ『鏡のなかの鏡――迷宮 』(岩波現代文庫)

096 「希望」からイメージする本は?

ロバート・R・マキャモン『スワン・ソング』(福武書店)

097 「運命」からイメージする本は?

ヘミングウェイの作品。とくに『キリマンジャロの雪』(新潮文庫)

098 「蘊蓄」からイメージする本は?

京極夏彦『妖怪小説』シリーズ(講談社ノベルス/文庫)
蘊蓄を吐いて人を煙に巻く妖怪がでてくる(嘘)

099 「読めないってこんなの!」からイメージする本は?

「試合やる前に負けること考えるバカいるかよ!」by アントニオ猪木
というわけで、無し。
活字なら調味料の瓶のラベルから幼児向けアダルト向けまで何でもOK。
ああ、でも、刷るだけ紙の無駄みたいな本にキレて
途中でゴミ箱にぶちこんだことはある。←わりと短気

100 「本」からイメージする本は?

ブラッドベリ『華氏451度』(ハヤカワ文庫)
ウォートン『サラマンダー 無限の書』(早川書房)
本を焼く話と、永遠に続く本の話。
『サラマンダー』のなかの謎かけをもって締めくくりとしたい。

「わたしは軽いが人を運びさるほどに強い。
 わたしは小さいが、わたしの中では無数の眠りがめざめるのを待っている。
 わたしは無言だが、わたしの言葉は遠くまで達し、けっしてつかえない。」

そういうものを日々の支えとして歩く犬に格好のお題を提供してくださった方々、
どうもありがとうございました。

以下、雑記。
考えるのはとても面白かった。
ほぼ全答するまでに十日近くかかったのは、通勤中しか時間がないからだ。
設問100×数冊で、書名/作品名を二百冊以上は挙げていることになるのか。ギャー
お題のタイトルに基づけば、本来、一問につき一冊ずつ厳選して
挙げなくてはいけないのかもしれないが、
いつもの雑記感覚でつらつら書いていったのでこんなスタイルに。失敬(汗)
本棚を見ずに考えつく本は、ハヤカワSFものばかり。
それもそのはず、中高時代は文芸系をほとんど読まなかった。
しかもボケがはじまっているらしく、最近の本よりは
小学生時代に読んだ作品のほうがずっと印象が強く残っている。
刻印といってもいいくらいだ。
子供時代の読書って大切(しみじみ)


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