東京の片隅から
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2021年12月20日(月) |
「鳥の歌いまは絶え」 |
ケイト・ウィルヘルム「鳥の歌いまは絶え」読了。 正直タイトル買いである。タイトルはシェークスピアのソネットかららしいが、響きが美しい。 もともとサンリオSF文庫で出ていたらしいが、サンリオSF文庫文庫自体もうないので、久しぶりの復刊と言うことになるのだろうか。いまのところ元・サンリオSF文庫は外れなし。 直接的には描かれないが核戦争と放射能汚染の広がる世界で、アメリカ合衆国のある谷にシェルターのように避難して暮らす一族の物語。地名が出てくるので、頭の中に地図を広げながら読み進む。「シェナンドア」の響きで頭の中には「おぉシェナンドー」とメロディが流れる。 1970年代の作品らしく、「風が吹くとき」と同じ世界観だ。それだけ世界崩壊を肌で感じていたのだろうと思う。 ディストピアものとくくられるのだろうが、実際生き延びようとするとこうなるよね、という妙なリアルさがある。最後はほのかな希望を持たせて終わる。 読み応えのある作品だった。
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