東京の片隅から
目次きのうあした


2021年12月11日(土) 本を読むということ

TikTok書評を批判した書評家の人がいてなんだか炎上しているが、もう新聞雑誌を読む人間が少数派な以上、書評そのもに触れたことがない若者がほとんどなわけで、とにかく「読む」体験を作ること自体が大事。
私は紙派なので町中の書店は生き残って欲しいが、もうこの際電子書籍でもいい。
TikTokで本を紹介する人のところに「本はどこで買えるのか」というと質問があったという話も聞いた記憶がある。もはやそれほどまで日本と人との距離は遠い。

いま、本は高級嗜好品だ。
週刊少年ジャンプだって200円を超えて久しいし、文庫本も500円ではおつりが来ないどころか1000円を超えるものもある。本のために食費を削り歩いて電車賃を浮かせる、そういう経験は批判した書評家の人にもあると思う。本に関わる仕事をしているのにざわざわ「買ってくれる」層をないがしろにすることもなかろう。次につながるかもしれないのに。本を手に取るきっかけは何でもいいと思う。推しが紹介した、映画化/ドラマ化/アニメ化された、表紙イラストが好み、好きなマンガのノベライズ、何でもいい。なんだったらマンガでもいい。自分はSFをよく読むけど、きっかけは学級文庫に置き去りになっていたコバルト文庫の新井素子の後書きや二次創作同人誌のお勧め本コラムだったりした。
私の子どもは小学校高学年で、今まで私からもいろいろ紹介したけど、あまり引っかからなかったらしい。宮沢賢治の短編くらいか。親の私が読んでいたものだって叔母の蔵書の名作児童文学で、同世代よりも古いものを読んでいた自覚はある。自分たちが小学生の頃に読んでいた当時の新刊は「ズッコケ三人組」とかあのあたりになると思うのだが、今の子供たちにとってあの世界観は十分「古い」だろう。いまはファンタジー系ライトノベルを読んでいる。買うほどではないらしいが、図書館で自分から手に取って、続きを予約している。続きを読みたいと思わせるなら、その小説にはそれだけでも価値がある。親としては物足りないけど、紹介はするけど実際に読むものには口を出さないことにした。子どもには子どもの世界がある。


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